世界選手権2021で優勝したアンナ・シチェルバコワのインタブビューがSport 24に掲載されていましたので、前後編で紹介します。前編は、フリーで4回転を1本にした理由についてです。
シチェルバコワ ー 4回転、オリンピック、羽生、チェン、誕生日について語る
コンスタンチン・レシク / Sport 24 / 2021/3/28
(あなたの演技を見るといつも、歴史がいま創られているというはっきりとした感覚があります。どんな歴史にも最初というものはありますから。フィギュアスケートの最初の思い出について教えて下さい。)
思い出はかなり変なんです。多くの人が、最初の思い出はリンクに入ったとたん駆け出した、と言っているのを聞いていましたから。私の最初の思い出は…リンクに入って、コーチが「さあ、やってみましょう、フェンスにつかまって」と私に言ったことです。その時私は、「なんでフェンスにつかまらなきゃいけないんだろう、いますぐできるのに」と思いました。けれど、すぐに氷に叩きつけられました。立ち上がって、うまくいかないと思ったけどもう一度試してみました。うまくいきません。それでもう一度氷に。3回目くらいで、傍から見て思っているほど簡単ではないとわかりました。
(あなたは信じられないほど安定している選手です。演技前の精神面での準備にどのような注意を払っていますか? 毎回新たに集中するのを助けているものはありますか? そして、演技前後での報道での一般的な議論に注目していますか? あるいは反対に、起こっていることすべてを遮断しようとしているのでしょうか。)
実際、精神面での準備はとても注意しています。いわば、不可能なことを可能にするというよりは、その時点でできることから最も良い演技ができるよう、大会に向けて正しい調整をすることが私にとっては重要です。できる最高のものをいつも見せたいと思っているので、それがうまく言ったときはとても嬉しく思います。
それから、大会前には余計なものは読まないようにしていますが、いずれにせよニュースは追いかけています。完全に遮断することはできません。時々見てしまいますが、それがまったく影響を与えないよう遮ることはできます。
(自由時間はどのくらいありますか?練習がない時、何があなたを幸せにしてくれますか?)
あまり自由時間は多くなくて、重要なことでも間に合わないこともあります。ですが、いつも時間がないせいで、というわけではなく、単に練習後で精神的に疲れているからということもあります。夜に、なにか新しくて面白いことをしてみるというよりも、ただ寝て休みたいということもあります。
練習がない時間の多くは勉強が占めています。学校が間に合わないので、休憩中に追いつかなければならなくなり、勉強して、課題をやってそれを先生に送ります。本当に自由な時間があるのはだいたい休日です。休日は完全に休めるよう、家族やペットと一緒に落ち着いて過ごすようにしています。
(世界選手権のコンテンツはどのようにして決めたのでしょうか。4回転1本で滑るということは前からわかっていたのでしょうか。)
前にはわかっていないことです。すべて変わりました。ここでの練習で、2つの異なった4回転、ルッツとフリップのバージョンを練習していました。その後、フリー前の日に、ルッツをなくしてフリップ2本で滑ることをコーチに提案しました。
自分の感覚で、その方が良いだろうとわかりました。コーチは練習を見て私に同意しました。それで、4回転フリップ2本のバージョンを予定していました。それが、4回転1本になったのは…それはもう私の演技中の即興です。その時、いまはその方が良いとわかったからです。その前は、もし1本めで転んでも2本目に行く、というバージョンを自分に言い聞かせていましたが、演技中に、2本目は4回転ではなくて3回転で演技したほうが正しく、信頼性があるとわかったので。
(その理解は、ライバルたちのミスがあって生じたものでしょうか。)
もし異なった2つの4回転であれば、どちらも転んでも失点は少ないのです。これは数学の問題でもあります。フリップ2本を演技で予定していて、2本とも転んでしまうとコンビネーションを失ってしまいます。得点も低くなってしまいます。フリップ2本で転ぶよりも、これ以上4回転を跳ばない、と決断しました。
(今後の大会の予定はいかがでしょうか。もしかすると、国別対抗戦に参加されたいのでは。)
ええ、日本での国別対抗戦に参加します。私にとって、とても嬉しいことです。それで…精神的にはとても辛いシーズンでした。たぶん、それを解放して、楽しんで日本に行って落ち着いて演技をしたいです。
ですが、いずれにせよ全力を尽くしてできることはすべて見せようと頑張ることにはまったく変わりません。
(続く)
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