トゥルシンバエワ母 - 生まれつきの椎間板の問題、カザフスタン代表となる不適切な決定、そしてコーチに対する誠実な言葉(1)怪我とキャリア

2021年9月28日火曜日

2021/22 トゥトベリゼ トゥルシンバエワ 引退

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カザフスタンのエリザヴェート・トゥルシンバエワが引退を表明しましたが、エリザヴェートの母親がMatch TVのインタビューに答えていましたので、3-4回に分けて紹介します。この発言が問題となり、エリザヴェートが謝罪する状況になっているようです。

第1回は、エリザヴェートの生まれつきの問題・怪我とキャリアについてです。


トゥルシンバエワ母 - 生まれつきの椎間板の問題、カザフスタン代表となる不適切な決定、そしてコーチに対する誠実な言葉

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(2)オーサーとトゥトベリゼ

(3)家族とカザフスタン代表

 
10/5発売 フィギュアスケートLife Vol.25 (扶桑社ムック)


生まれつきの椎間板の問題、カザフスタン代表となる不適切な決定、そしてコーチに対する誠実な言葉。「Match TV」がエリザヴェート・トゥルシンバエワの母親と話す。

https://matchtv.ru/figure-skating/matchtvnews_NI1410486_Vrozhdennyje_problemy_s_pozvonochnikom_nevernoje_reshenije_vystupat_za_Kazahstan_i_dobryje_slova_treneram_Match_TV_obshhajetsa_s_mamoj_Elizabet_Tursynbajevoj

マリーナ・チェルヌィショワ=メリニク / 2021/9/25 / Match TV



「エリザは、成長しきらない余計な椎間板という昔からの問題が悪化した。娘は妊娠7ヶ月で生まれ、病気も多かったのではじめはスポーツをすべきではなかった」



(お子さんの競技人生にどのように関わっていらっしゃったのでしょうか。)


信じられないかもしれませんが、エリザ(トゥルシンバエワ)のキャリアを通じて練習を一度も休みませんでした。仕事の合間に走っていました。私はリモートでできる仕事なんです。1995年、大学で市場での資本の作り方を学びましたが、パンデミックでリモート形式のしごとへの需要が増えるなんて誰が思いつけたでしょう?けれど教師はそのとき、家にいながらお金を稼げることが重要だと教えてくれました。高等数学の教授は、遅かれ早かれ世界はそこにたどり着くと警告していました。


それで、私はジャンプやスピン、他の技術的詳細について理解しています。どれだけの年月を目の前でみてきたことでしょう!フィギュアスケートに関する本や教科書を大量に読み漁りました。



(選手のご両親の多くは、子供の演技をライブで観るのが辛いことがよくありますが・・・。)


私は反対に観ないでいることが難しいです。リンクサイドに出てコーチの隣にいることもよくありました。コーチ陣ができないときに、自分自身で娘を連れて行くことも時折ありました。例えばカナダでは、ブライアン・オーサーが他の教え子で多忙なときなど。一緒にキスクラに座って点数を待ち、お互いを励まし合いました。自分の子供演技を観るという幸せをいったいどうして避けられるのか、私はわかりません。



(世界選手権2019で、エリザヴェートはクワドサルコウを跳び、シニアの国際大会で初めて跳んだ女子となりました。そのとき、どうお感じでしたか。)


フリーの前日、エリザが練習後、ナーバスになって帰ってきたのを覚えています。心がなにか辛かったのです。「明日、リンクに入ったら大丈夫!」と言いました。彼女は最終滑走で演技まで長い時間待っていたのでとても緊張していましたが、コーチたちは正しく心の中を調整してくれて、彼女は氷上でしたかったことをすべてやり切りました。エリザがクワドサルコウを降りたら私は落ち着くことができて、あとは祈るばかりでした。


おかげさまで歴史的なジャンプを跳ぶのに間に合いました!ちょうどにです!というのも、現在の女子スケートでは大きなメダルを獲るのに間に合うのは15-17歳で、その後女子の大部分は競争に絶えられずに去っていきます。19歳以降で競技会で誰が4回転ジャンプを見せられるのでしょうか、見てみましょう。エリザはエテリ・トゥトベリゼの指導のもと、12歳でトリプルアクセルに挑みました。けれど、直近のシーズンではコーチらはサルコウに賭けて、アクセルは延期を決定しました。その後挑戦を再開しましたが、怪我と遅れた成長期が始まりました。



(世界選手権での銀メダルはどんなお気持ちで。)


エリザが最後のジャンプを着氷したあと、私は観客席の外に出て耳をふさぎました。その瞬間のエネルギーがあまりに強く、点数を見るのが怖かったのです。その後アレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンのところにいき、娘がメダルを獲ったと伝えました。その夜、チームはものすごく喜んで誇りに思いました。メダルというよりも、功績でです。安藤美姫から始まり、どれだけの年月をスター選手たちが4回転ジャンプを跳ぼうとしてきたのでしょうか。リーザはそれを跳び、しかもシーズンの大事な大会でです。これは歴史と言ってもいいでしょう!



(その後、エリザヴェートにどんな怪我があったのですか?)


昔からの問題である、成長しきらない余計な椎間板の問題が悪化しました。生まれつきのものです。妊娠7ヶ月で生まれ、たくさん病気をしていたので、もともとスポーツをすべきではありませんでした。彼女をリンクに連れて行ったのは、身体をよくして、幸せな感覚を贈りたかったからです。けれどすぐに、リーザはフィギュアスケートなしでは生きられないことを見て取りました。腰の怪我は慢性的なもので、負荷をかける期間によく悩まされました。怪我はは急に現れるのではなく、徐々に出てくるのです。4回転のために、エリザにどれだけの大きな負荷があったのか想像してみてください!時に4回転の練習をすると、悪化し始めるのです。せめて、犠牲がすべて報われた世界選手権のあとで良かったです。



(最初は競技に戻るつもりだったのでしょうか。それとも、この怪我ではもとのコンディションに戻ることは無理だとすぐにわかったのでしょうか。)


身体の問題に真剣に取り組み、成功を信じていました。エリザはドイツの医師のところに治療に通っていました。練習は頻繁にしていましたが、軽い内容ででした。ショーでも滑り、ジャンプを跳んでいました。けれど、腰はいずれにせよ解放してくれませんでした。夏の終わりに、もう終わりだということが明らかになり、家族全員で最終的な決断をしました。娘は花束を持って故郷となるリンクに行き、自分に注いでくれたものすべてについてコーチたちに感謝を伝えました。



(困難な時期、ご両親としてエリザをどのように支えられたのでしょうか。彼女の精神的状態はどんな感じだったのでしょうか。)


率直に言えば、リーザが引退したことを私たちはすごく喜んでいます。自分の身体を苦しみから解放し、やっと全力で学業に着手しました。彼女は自分で奨学生としてMGIMO(国立モスクワ国際関係大学)に入学したのです。


家族の中では変化にまったく普通に対応しています。どれだけあったことか…地球の反対側への引越し、自分たちだけで大都会に慣れること、ゼロからの起業、怪我からの回復…。競技を引退することが、どれだけ素晴らしいことだか、わかりますか?知り合いの多くは、「いったいどうやって全てに耐えているんですか?」と最近訊いてきます。けれど、家族にとってはお祝いなのです!人生の一つの段階が過去のものとなり、いまは新しい道に入っています。状況をドラマ仕立てにしない、と子どもたちを育ててきました。



(全体として、お子さんの競技上のキャリアに満足されていると言えますか。)


もちろんです。彼女はオリンピックに初めて出場したカザフの女子フィギュアスケーターですから。国際大会で4回転ジャンプを跳んだ初めてのシニア女子です。全世界が、このカザフスタンの女子が跳んだことを知っています。この成功は、ロシアのメンタリティとコーチたちのおかげです。エリザをリンクへと連れて行った毎日を、とても幸運に思います。彼女と一緒に、小さな達成と失敗、試練のあとの勝利一つ一つを経験してきました。


子供たちが自分の人生に取組んでいるいま、私には創作の時間ができました。「愛は困難と共に見つける」という、家族の回想録を書きました。そこに私自身の経緯もあります。まったく一人でモスクワに来てどうやって「人」となったか、どんな失敗をしたか夫とともにどう子供たちを育てたか、子供たちのキャリアのためにどんな困難を乗り越えたか。この本はキルギスで私の母語で出版され、いまはロシア語に訳しているところでここで回想録を出版するのを夢見ています。


続く




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