ブライアン・オーサーのロング・インタビューがSport.ruに掲載されていましたので、何回かに分けて紹介します。今回は第2回です。羽生部分についてはすでに投稿にありますので、ご参考まで。
(1)クラコワ/親の干渉について
(2)選手の指導/カナダについて ← この記事
(3)選手の心配/休暇/ISUアワード
(4)羽生のプログラムと今後/GPFコーチ不在の経緯
(5)メドヴェデワ/SNSについて
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(1)クラコワ/親の干渉について
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(3)選手の心配/休暇/ISUアワード
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(5)メドヴェデワ/SNSについて
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ブライアン・オーサー・ロングインタビュー:メドヴェデワ、羽生、そしてトゥトベリゼの娘たちまで
2020/3/7 Sport.ru Maia Brantseva
(続き)
(ジェーニャ(メドヴェデワ)は。)
彼女のお母様も練習プロセスには干渉しません。彼女にとってはまったく簡単なことではなかったでしょう。練習システムがまったく違いますから。しかも、彼女自身もスケートをしていましたし、フィギュアスケートを理解していて、以前はどのような練習をしていのかを知っていますから。彼女にとって、私たちを信頼し、傍観して我慢するというのは、大きな一歩だったと思います。
私はもう何度となく、1年半という一定の期間が必要だと言っていました。ジェーニャとそのチームにとってそれは他の選手よりも大変なものだったのかもしれません。彼女は自分を育ててきたシステムの中に大きく根を下ろしていましたから。間違ってとってもらいたくないのですが、それはまったく悪いことではありません。ただ単に、彼女がなれているものとはここではすべてが違うだけです。
チームの男子の中で一番の例はたぶんハヴィでしょう。指導を始めた最初の年は、ユーロでもワールドでも特筆する結果を見せられませんでした。そしてちょうど1年半経って突然ワールドの銅メダルを獲ったのです!
ユズが私たちのところに来たときにはすでに世界選手権に出て3位になっていましたが、1年半後にオリンピック王者になりました。
いま、ジェイソン・ブラウンが同じ経緯です。米国選手権ではただただ素晴らしく、信じられないほどの成長段階にあり、4回転も成功し始めています。周りは4回転のことばかり話していますが、もちろん私たちは一つ一つの出来事に集中しているのではなく、自分のテンポで進んでいます。しかし彼は我慢強い青年です。彼のいまを作るためにちょど18カ月かかりました。私とトレイシー(ウィルソン)は、彼は米国選手権での演技で状況を素晴らしくコントロールしているのに驚愕しました。
(選手たちにそのスケジュールを信じさせるのは難しいでしょうか。)
需要なのは、最初のシーズンは最高とはならないかもしれないけれど、それが普通だ、ということを理解することです。もちろん、これで誰かやめようとしたり、やる気をなくしたりすることは望んでいません。すべてが問題なく行くかもしれませんし。しかし、その後は確実に良くなりますが、ただ選手が私たちのシステムに慣れるのに少し時間が必要だということです。
選手たちが決断し、自主的な選択、正しい選択ができるよう、必要なものは与えます。というのも、多くの選手は、何をどうしなければならないか言ってもらえるからです。OK、子供や、もしかするとジュニア選手でもそれは有効かもしれません。一方シニア選手は大人であり、自分の練習について責任をもち、どこにも遅れないよう責任を持たなければなりません。もっと練習する必要はないか、自分で決めるのです。私の場合もそうでした。
私がまだ現役の頃は、追加で滑れる場所や、さらなるフィジカルトレーニングのあらゆる可能性を探していました。私がどんなに頑張ってるのかコーチに見てもらうと、コーチの家の周りを走ったこともあります。彼はそれについて何も言いませんでしたが。そういったことを、選手たちには期待しています。
(コーチとしては、選手たちが単にあなたの言うことを聞いて、言われたことをする方が都合が良くないのでしょうか。)
まあ選手たちにあれやこれや言います。その後に質問します。「今日は練習でプログラムの通し練習をすべきでしょうか?」。ちょっと考えて同意する選手もいます。「ええ、通しで滑りましょう」と。もちろん、誰もその練習はすきではありません、大変なので。マラソンのようなものですから。今日、マラソン走ってみる?という感じなのです。
私はコーチとして、もちろん通し練習は必要だと理解しています。簡単な道を選んで「今日はプログラムの通し練習をしなさい」と言うこともできます。選手たちが考え、自分ですることを選ぶようにすることもできます。それが選手たちの判断になります。選手たちは、私が強制したからではなく、その練習が自分をもっと強くすると理解して、練習をしなければなりません。今日その練習をすれば、3週間後に滑りが良くなります。すべて、正しい選択のおかげです。
この練習をしないことを好む選手もいます。ただ、そういった選手は成功に到達することはないでしょう。簡単なことです。結果が悪くなることに単純に耐えられず、すべてがすぐ必要な選手もいます。その周りには、「すべてコーチのせいだ」と吹き込み始める「ボランティア」に溢れているのです。
(練習はどのように組まれているのでしょうか。ジュニア選手とシニア選手は一緒に滑るのですか?)
いいえ。ジュニアとシニアは別にして練習セッションを順番に配置しています。とはいえ、共同練習もあります。ジュニア選手にとって、成績を出している選手たちの隣にいることはとても重要です。ときにはこんなこともあります。シニア選手が数名大会で出ているときに、ジュニア選手に「あなたとあなたとあなたは、今日はシニア選手と滑ってください」と言います。彼らにとってこれは一大事であり、再びこういうふうに呼ばれるよう、全力で自分ができることを見せようと努力します。
もちろん、ジュニア選手たちにとってこれは大きな刺激です。羽生やメドヴェデワ、ジュンファンと同じリンクで滑れるんですよ。ところで、ジョセフ・ファンは、カーチャ(エカテリーナ)・クラコワと同様、今年はジュニアでもシニアでも大会に出ています。モントリオールには彼も行きますので、結弦、ジュンファン、カーチャ、ジェイソンと4人の選手を連れて行くことになりますが、チームとしてとても良い結果です。
(※訳注:数字が合いませんが原文のままにしています。おそらくクラコワのことを言っているのかと思いますが、代名詞が「彼」になっています。)
(常に一緒に写真を撮ってもらいたいと近づいてくる人たちがいるので何度もインタビューを中断しなければならないですね。いつもこんな感じですか?断ったりはしないのですか?)
まあ、大会中はそうですね、ほとんどいつもこんな感じです。特に韓国と日本では。カナダではそんなことないんですけどね(笑)。
(カナダのフィギュアスケートはいま最強とは言えない時期です。何が問題なのか、どうお考えですか?)
まあ、韓国でのオリンピックまでは問題ありませんでした。スコットとテッサ、メーガンとエリック、ケイトリン・オズモンドがいました。つまり、8年ほどにわたり本当の傑出した選手団だったのです。それがいまは…凋落とはいいません、「再建」と言ったほうがよいでしょう。カナダはロシアと違って、強力な選手たちがたくさんいることを誇ることはできません。つまり、ロシアは在庫回復期を待つ必要はなく、自動的に追加されるのです。何を言いたいかはわかりますよね?これはまったく悪いことではありません。
それに、これに従ってお客さんの関心も落ちています。この状況を救うためには、例えばミシェル・クワンのようなスーパースターが必要です。ブライアン・ボイタノ、スコット・ハミルトンが滑っていた、偉大な対決の時代のような。キムユナと浅田真央、それに安藤美姫のあの決闘を思い出してください。お客さんは気を緩めることはできませんでした。
また、いまフィギュアスケートは家でいつでもインターネットで見ることができます。あらゆる演技、あらゆる大会への24時間アクセスがあるでしょう。世界の反対側にあるスタジアムまで行かなくても良くなったのです。ロシアではもちろん状況は違っているでしょう。スタジアムは観客で壊れそうなくらいです。
(続く)
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