RT(Russia Today)が、アレクサンドル・サマリンのインタビューを掲載していますので、2回に分けて紹介します。変則的に後編を先に紹介しましたが、今回は前編です。
(前)ユーロでの失敗と4回転ジャンプ ← この記事
(後)羽生と新プロ
3/26発売 フィギュアスケートLife extra 華麗なるスケート衣装の世界 (扶桑社ムック)
(前)ユーロでの失敗と4回転ジャンプ ← この記事
(後)羽生と新プロ
3/26発売 フィギュアスケートLife extra 華麗なるスケート衣装の世界 (扶桑社ムック)
『一体何をしてしまったのか?』と思いながらリンクサイドに戻った:サマリンがユーロの失敗、ソコロフスカヤ・コーチとの関係、そして羽生のアクセルについて語る
RT / エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ / 2020/3/11
(続く)
(グラーツでの欧州選手権で、ショートプログラムで13位となってもうシーズンの最重要大会に行くチャンスを失ってしまったという事実を、いまでもまったくのナンセンスだと受け取っています。そのときご自身はどうお感じでしたか?)
もちろん嬉しくはありませんでした。けれどもうそういったことへの対処を覚えました。すでににた経験がありましたから…オリンピック・シーズンも、まったくおなじように欧州選手権後に平昌オリンピックに行けませんでした。グラーツでは諦めずに、フリーで挽回しようと頑張りましたけど、大会は辛かったです。
(フリーでは10位以内に滑り込みました…)
はい。良い踏み石になりましたし、タイミングは良かったと思います。これから先の2シーズンは自分にとってとも重要です。スヴェトラーナ・ソコロフスカヤ・コーチとあらゆることを話し合い、細分化し、目標を決めたのですが、その目標は重要以上のものです。ですので、いつもと同じですが、コーチや応援してくれたみなさん、うまく行かないときでも支え続けてくれる人たちに感謝したいです。
(グラーツで起きたブーツの問題に、失敗はどれだけかかっていたのでしょうか。その問題は避けられなかったのでしょうか。)
結果をブーツのせいだけにしたくはありません。まったくのゼロでグラーツに向かったわけではありませんから。練習ではジャンプすべてを跳び、プログラムを滑っていました…まあ、滑りなれた靴に比べて演技は難しかったです。この状況はおそらく、店で新しい靴を買って脱がずに1日中歩いたのような感じでしょうか。フィギュアスケートのブーツははるかに固いのでその問題はより申告になるのですが、必要な状態にまで柔らかくなって足に慣れるまで時間がかかります。
(ユーロを前のブーツで滑るリスクをとる価値はあったかもしれませんか?)
それについても考えていました。もっとよく滑り切ることはできたかもしれません。ただ、フリーの途中でブーツが最終的に壊れてしまったかもしれません。その場合どうすればよいのでしょうか?やってしまったことはやってしまったことです。いま言えるのはそれだけです。
(サンクトペテルブルクでのロシア選手権では似たようなネガティブな経験がありました。フリープログラムの途中でブーツが壊れるという。この問題を完全に解決しようとは思わなかったのでしょうか?別のモデルに移行するとか。)
1シーズンで2足を慣らすというのは自分にとって非現実的です。慣らしのプロセスはいつも大変ですから。2足を一度に準備するなんて、まったく、足がなくなってしまうんじゃないかと思います。モデルについては、ちょうどエデアが試してみた中で唯一私の足に合うものでした。以前はリスポートの靴で滑っていたのですが、足が大きくなり靴幅が狭くなってしまったのです。メーカーの方には感謝しなければなりません。常に関心を持ってくれて、もっと快適に滑れるように修正や作り直す必要はないか訊いてくれて、あらゆる要望にいつも答えてくれます。
(あなたは競技で簡単な道を選ぶような人では常になかったことはわかっていますが、クラスノヤルスクでのロシア選手権のショートで、4回転ジャンプを1つもうまくできなかったという失敗をしたときに、この難度は正当化できないという思いは有りませんでしたか?2本目の4回転をなくしてしまっても良かったのではないでしょうか?ショートプログラムはやはり、あなたのレベルのフィギュアスケーターにとってミスをするのが許されない種目です。)
そのとおりです。まさにそのために、それでもお正月以降は、4Lzは残しましたが4Fとトウループに変えて、コンテンツを楽にしたのです。このジャンプのつながりは、練習ではかなり安定してできていました。懸念はしていなかった、と言えます。いずれにせよ、必要なときにうまく行かなかったのですが。
(集中を邪魔したのは何でしょうか?もしかすると、演技前にコーチがあなたのモバイル機器すべてを取り上げた方がよかったとか。)
SNSについておっしゃってるのであれば、大会中はSNSをずっと見ていたりはしません。インターネットで書かれることについてはまったく読みません。次の演技について多くのことを考えていて、思うにみんな同じことを考えているのではないでしょうか。そのことについていまはあまり話したくありません。自分の中の気持ちは、かなり個人的なものですから。
ただ、集中についてはコーチと一緒に常に取り組んでいるとは言えます。ユーロの後、とても多くのことを考え直しました。
(グラーツでの演技後、リンクサイドに戻って、ソコロフスカヤ・コーチがその愛情と信頼にもかかわらず、結果に打ちのめされるのに疲れ、あまりにも頻繁な失敗に疲れ、指導に疲れてしまったと言われるのは怖くなかったですか?)
そんなことがありうるなんて考えたこともありませんでした。リンクサイドに戻るとき「いったい何をしてしまったんだ?」と思うことは当然でしょう。ただ、スヴェトラーナ・ウラジーミロヴナ(ソコロフスカヤ)、とは、あれだけの時間をどん底から這い上がってきましたし、どれだけ後退して、また新たに上ってきて前に進んできたことでしょう…。コーチは私のことを捨てることは絶対ないでしょうし、私もそうです。コーチが私のことを信じて、いつも元気づけてくれることは、常に感じています。目標は一つですから。
(シーズンが事実上終わってしまったとわかって、自分に練習させるのは難しいですか?)
ええ、大変です。グラーツから戻って数日経ってやっと自分に戻りました。リンクに入る前に、落ち着いて、熱気を吐き出して、深呼吸して、頭の中でこれに続く行動計画すべてを整理しなければならなかったと。いま、練習に向けてかなり充電されています。多くのことを学び、この前のタリンでの大会では新しいジャンプ、クワドループを試しました。かなりすぐに習得できました。
(いま、ルッツ、フリップ、ループを跳ばれていますね。どうして、少し前の世代の選手はトウループだけを跳ぼうとしていたのでしょうか?それが4回転の中で本当に最も簡単ななのであれば、いまなぜ人気がなくなってきているのでしょうか。)
それはまず、選手はみんな勝ちたい、他の選手がしていないことをしたいと思っているということでしょう。トウループは実際に一番簡単です。トウループは男子では本当に難しいエレメントだと受け取っている人は少なくて、どちらかというと3回転と同じレベルのどこかにある、とも言えます。
例えば、自分に関して言えば、練習でトウループを跳ぶのにはなにか特別な準備やウォームアップは必要ありません。リンクに入って、跳ぶだけでです。他の4回転ジャンプには、はるかに真剣な努力と真剣な準備が求められます。あのルッツにはとても多くのエネルギーが奪われます。ですので練習では、滑りながら正しく体力を回復し、正しい呼吸をして、筋肉を休めることができるようエレメンツ間でリラックスすることをいま学んでいます。
(スキー選手は普通、下り坂で休むと言います。フィギュアスケーターはどんなエレメントで休むことができるのでしょうか?そんなエレメントがあればですが。)
あるというよりはない、と思いますが、一番難しいジャンプやつなぎでさえ、より力を入れずに遂行することを学ぶことはできます。ただ、こういったことは経験からくるものです。プログラムの途中で息をついて、プログラムをトマトのように真っ赤にして終わらせないようにするためには、どうプログラムを作っていけばよいのか、一定の動作をどのようにすべきなのか、わかり始めます。
(女子は、500g余計な体重が増えると、4回転やトリプルアクセルを跳ぶのに克服し得ない障害となるとよく言います。あなたは体重についてどう感じていますか)
500gでは自分にとってはジャンプを邪魔するものではありません。ただ、1kgはもうかなり感覚を変えてしまいます。すべてがもっとゆっくりになって、いわば粘着的になります。そういったときは、最初に取組むべきは体重です。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿