アルチュニアン・コーチのロング・インタ、2回めです。
(1)ミハル・ブレジナ
(2)ミハイル・コリャダ ← この記事
(3)ネイサン・チェン
(4)女子シングル
(5)外国人選手の受け入れ
アルチュニアン:ロシアの男子シングルはプレッシャーがかけられていて、そのためにいつも「荒れて」いる。
https://rsport.ria.ru/interview/20181109/1145633054.htmlエレーナ・ヴァイツェホフスカヤ / R-Sport / 2018/11/9
(続き)
「パンク」の練習
(9月はじめにミハイル・コリャダと話をしたのですが、彼は、あなたの指導の下、いかに効果的に夏合宿を行ったかについて話していました。しかしシーズンが始まって、彼は4回転でまたかなり多くの転倒をするようになりました。)しかもシーズン開始は悪くなかったです。ブラチスラバの大会では素晴らしい結果を見せました。ただ、その後すべての調子がおかしくなったようです。このことには、説明があると私は思います。まず、ミーシャ(コリャダ)は、他のロシアの男子シングル選手の多くと同様に、常に狙いをつけられていて、他人の期待のプレッシャーに晒されています。彼が出てくるまでのマクシム・コフトゥンのように。彼らはみな「荒れて」しまうのです。もしかすると、かなり安定して演技をしているセルゲイ・ヴォロノフを例外として。ミーシャもまた、かなり人を信用しないスケーターです。一緒に仕事したときに、私の助言やアドバイスすべてを、ミーシャは取り入れる前にあたかも試そうとしていたことは明らかでした。「食品工場に来て、どの料理が美味しいのかと考えながらカウンターに乗っている料理全部を試すような感じで、私のところに来る必要はない。薬局にいるように振る舞いなさい。錠剤を渡されて、会話もなくそれを飲み込んで仕事に行くように。その味が好きかどうかなんてことには関係なく。」
しかし、こう認めなくてもいけません。選手が信じてくれないのは、選手の問題ではなく、コーチ側の問題であると。つまり、私たちコーチがなにか正しくないようにしているのです。私たちの助言が機能しなくなるなら、それはその助言がなにか違うということです。これが、コーチという職業の、最初の、そして一番大きな問題です。
(ずっとそんなお考えだったのですか?)
何を言ってるんですか、もちろん違います。私がいまあなたに話していることを理解するに至るまでには、とても長い時間がかかりました。
(エレメンツに対して最後まで戦うように、どのように技術的にスケーターを教えるのでしょうか。そのコリャダについても、大会に来ると練習では素晴らしい高いジャンプを見せているのに、大会での着氷は説明もできないほど失敗しています。)
大会という状況では、ホームでどれだけ選手がきちんと練習してきたかということについてただ単純に判断することはできない。見られるのは、2度や3度の練習だけでは?それを根拠にして、選手がホームで同じように良いジャンプを跳んでいるのか、判断できますか?もしかすると、観客の前で集中して、いつもよりも上の努力をしているだけかもしれません。
(そういったことではありません。あの羽生結弦は、他のどんなフィギュアスケーターだって転倒が避けられないような問題のあるジャンプも、なんとか成功させています。この日本人は、猫のようにどんな体勢からでも降りられるように、特別な練習をしているのではないかという感じです。)
それについては単純な例を出しましょう。スキーのジャンプ選手は、何としてでも斜面に着陸できるといった考えを許していると想像できますか?あるいは、空中で何とか体勢を整えられるとか?そういったものは原則としてありません。なぜなら、そんなことをしたら生きてはいられないとみんなわかっているからです。フィギュアスケートにおいては転倒で誰も死ぬ事はありません。というのも、考え直して、空中で開いたり、3回転の代わりに2回転にしたり、あるいはいわゆる「パンク」したりすることを自分に許しているからです。まさに、私が話したことについて、それも含めて私は2年も費やしています。「パンク」それぞれは「パンク」の練習以外の何物でもなく、間違った習慣を覚えることになるのだから、フィギュアスケーターは「パンク」をする権利はない、と説明しています。4回転ジャンプに入るなら、それを跳ばなければならないと。こういったこと全体を指導しているスケーターに説明するために、極めて長い時間をかけています。課題を徹底的に遂行することを、選手が理解できるように。私が選手に対し課題を3回遂行するように行ったら、2回でも4回でもなく、3回やらなければなりません。時々、心の底から理解できない人もいます。4回は3回よりも多いのではないかと。しかし、私に必要なのは、多いことではなく、必要なだけなのです。
(続く)
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