ロスコ：ミーシンとの別れ、トゥトベリゼの下での練習、ザギトワとの交流（３）アイスダンス挑戦と引退／ザギトワとの思い出

（アイスダンスへの挑戦について教えて下さい。どんな感じだったのですか？）

怪我を治して、ニキータ・ミハイロフが両プログラムの振付をしてくれて、そこで夏休みが始まりました。誕生日にレーナ・イリイヌィフからメッセージを貰いました。「アリサ、アイスダンスをやってみませんか？」と。まだ正式にはミーシンの下にいたときでも、すでにアルトゥル・ガチンスキーに指導を受けていましたが、いつも「アルトゥル、ダンスをやってみたい、ダンスをやってみたい！」と言っていました。そこに、こんな誕生日プレゼントです。行って挑戦してみることにしました。

私はアジヤン（ピトケーエフ）は、とペアを組んだのですが、なんとかすぐにうまく行きました。2週目にはもう氷上でリフトを始めて、プログラムの振付も始まりました。すべてが急速に進んでいきました。その後、私たちはアレクセイ・ゴルシコフの合宿に送られ、そこでも有益な時間を過ごしました。新しいことを知るのはいつだって素晴らしいことです。

アイスダンスを止めたのは、少し後悔しています。とても気に入っていたので。

（自分にとって新しいことを試すのは簡単ですか？）

私はそうです。母は違いますが。でもレーナは安心させてくれました。公表せずに試しているだけで、好きにならなかったらサンクトペテルブルクに戻ってピサレンコの下でスケートを続けられると言ってくれました。ただ、結果としてはいずれにせよ何らかの形でマスコミやSNSに情報が漏れましたが。フィギュアスケートでは秘密はすべて明かされてしまいます。

（シングル選手にとって、アイスダンスのステップやリフト、スピンはいかがでしたか？）

リフトは難しいですが、特に大変だったのはスピンを学ぶことでした。遠心力があるので、パートナーに合わせなければいけません。彼はあちらへ、私はこちらへと。長いことうまく行きませんでした。ただ、私がアイスダンスのブレードに変えたら少し楽になりました。

（シングルスケーティングのブレードとはどこが違うのですか？）

カーブに入るのが楽になるよう、より薄いんです。また、かかととトウも少し違います。動きやすいよう、ブレード自体が少し短いです。

（シングル選手にアイスダンスのステップを振り付けたら、対応できるでしょうか。）

出来ますが、アイスダンスの選手ように美しく、質の高いものではなくなります。

（あなたの経験に基づくと、かなり成長した年齢の女子シングル選手がアイスダンスに転向するのは現実的でしょうか。）

もっと早くから始める意味があるとも思います。15歳ではもうかなり遅いです。おそらく、そのためにコーチは誰も私たちをとってくれなかっのでしょう。アジヤン（ピトケーエフ）は、はもう19歳でしたし。シングルからの転向に最適な年齢は、10-11歳だと思います。

（ペアについてはまったく検討しなかったのでしょうか。）

アイスダンスを試したときには、自分がジャンプを跳びたくないことがはっきりとわかっていました。アイスダンスの美学、つまりスケーティングやコレオ、感情が気に入ったのです。ペアではジャンプを跳ぶ必要がありますし、それに加えスロージャンプやツイストリフト、腕を伸ばした状態でのリフトもありますが、それが怖いです。モスクヴィナのスクールで練習を見たことがありますが、ペアの女性が落ちるのを見ました。ペアを試すよう誘われたこともありますが、私の競技ではないことははっきりとしています。

（引退の決断はすぐにできたのでしょうか。）

いいえ、ずっと長引きました。怪我、治療、連盟との間の誤解、そしてまたミーシンとの関係の問題のためです。それに加え、アイスダンスへの転向の挑戦がありました。それも特にうまくは行きませんでした。私たちを指導してくれていたレーナ・イリイヌィフは、自分自身の練習を再開したためです。私とアジヤン（ピトケーエフ）は専門家を渡り歩きましたが、誰も取ってくれませんでした。１ヶ月間無駄にモスクワ中をうろうろしてから、私と母は戻ることを決めました。しかし、ペテルブルクでもアイスダンスでは採用してもらえませんでした。パートナーがいないからです。

家に戻り、数週間、ただ家族で座り込んで、今後どうするかを考えました。人生すべてをフィギュアスケートに賭けていました。そのために勉学を捨てていたので、４年間まったく勉強していませんでした。それで、これからどうしよう？どうやって生きていこう？最終的に、まずは教育の問題を解決しなくてはいけない、他は後になればわかるという結論に達しました。

（もしキャリア上でに何か変えられたとしたら、何を変えましたか？）

たぶん、アイスダンスへの挑戦をしなかったと思います。ピサレンコの下に残ったと。素晴らしいコーチで、彼女の下でやっと安定して滑れるようなりました。彼女は私のルッツのエッジエラーも直してくれたんです。

（そこをもう少し詳しく教えて下さい。不明確なエッジを教え直すという独自の知識に対して、たくさんのお金を払う人はたくさんいると思います。）

アリーナ・ユリエヴナ（ピサレンコ）は、まさにどのようにルッツを跳ばなければいけないのかを、わかりやすく説明してくれました。以前は、「ジャンプの入りを変えて、ジャッジの視線の角度とは別の方向にジャンプを配置換えしなさい」と言われていました。つまり、事実上エラーを治すのではなく、ジャッジがエッジを検討しないように隠してジャンジをごまかそうとしていたのです。

（一般的に、エッジエラーは習得のどの段階で現れるのでしょうか。）

私とアリーナ（ザギトワ）は、がまだイジェフスクの同じグループで滑っていたときに、こういう課題が出されたことがあります。最初にフリップを跳んで、その後ルッツを跳べと。その違いはどこにあるのか、アリーナと相談しました。それで私は、「そう、フリップの前にはスリーターンがあるけど、ルッツの前にはない」と言いました。二人で笑い合って課題をこなしに行きました。つまり、私たちはエッジが何か、それがどうなっていなければならないかさえ知らなかったのです。フリップはスリーターンから、ルッツは後ろ向き滑走からと言われていました。

（アリーナとは仲が良かったのですか？）

親友でした。

（今もその関係を維持されていますか？）

お祝いにはお互いに祝いあいます。グループには、私とアリーナ、そしてもう一人と、将来性のある女子スケーターが３人いましたが、面白かったんです。私とその子はいつもアリーナを追いかけていました。アリーナが成功して嬉しいです。アリーナ自身と家族全員の大きな努力の結果です。

（アリサ、もしいま、パートナーとコーチとお金が用意されて、滑りに来てほしいと言われたら同意しますか？）

まさか。以前、シングルについて考えたことがありました。ジョージア代表になる機会があったのです。モリス（クヴィテラシヴィリ）を通じて、ジョージアのフィギュアスケート連盟会長が電話をくれたことがありました。私を指導してくれるコーチの名前も言ってもらいました。でも、また何を経験しなくてはいけないのか、髪の毛が白くなり抜け落ちるようなあの緊張とストレスにまた耐えなくてはいけないのかと想像しました…。単にとても敏感で現実のようにすべてを捉えてしまうのです。１週間考えて、自分のために決めました。勉強をする、指導をする！まるで年金生活者のようです（笑）。