ダリヤ・ウサチョワのロングインタビューがRussia Today(RT)に掲載されていたので、4回に分けて紹介します。
最終回の今回は、将来と趣味です。
ウサチョワ:インターネット戦争の準備はできている。もう自分については聞き飽きた - ファンの行動、ウルトラC、曲の感覚について
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ウサチョワ:インターネット戦争の準備はできている。もう自分については聞き飽きた - ファンの行動、ウルトラC、曲の解釈について
https://russian.rt.com/sport/article/849277-usacheva-intervyu-kvady
ウラジスラフ・ジューコフ / Russia Today / 2021/4/7
(続き)
(来シーズン、あなたは公式にシニア選手になります。時が過ぎるのが速すぎるという感覚はありませんか?)
そういったものはあります。私たちのチームには、第3の年少男子グループができました。彼らにとっては、私たちはもう大人です。「クリスタル」に来ると、「見て、ダーシャ・ウサチョワだ!」というのが聞こえてきます。もちろんとても嬉しいのですが、まだ慣れるのが難しいです。アリーナやジェーニャにそんな反応があるのはいいのですが、私たちはまだそこまで有名ではありません。正直に言うと、照れます。
(オリンピック・シーズンへの野望は大きく?)
野望を持つあらゆる選手にとって、それは同じことです。けれど、まだ今のことを考えています。私にとって今が最も重要です。すべてを最後まで習得してやりきれます。そのために約2ヶ月あります。
(待ってください…2ヶ月ですか? 4月はエテリ・トゥトベリゼ・ショーで、5月は練習。では、休暇はいつになるのでしょう。)
5月は計算に入れません。10日くらいから休暇に入ります。ロシアカップ・ファイナルが終わった瞬間から休暇を含めてだいたい2ヶ月です。ツアーは、邪魔にはならないと思います。1日出演があるだけで、その後はすぐに練習ですから。逆に、深呼吸して、プログラムをさらに滑り込む機会になります。それに、ショーというのはクールなんです。
(新プログラムのアイディアはもうありますか?)
まだ話し合っていません。コーチには別の心配がありましたから。
(毎シーズン、両プログラムともだいたい同じ感じのドラマティックな方向性を堅持されていましたね。イメージを大きく変えたいとは思われませんか?それとも、このような責任の思いシーズンにリスクを取らない方が良いのでしょうか。)
いずれにせよプログラムは2つですから。2つとも異なったイメージを実現することもできます。けれど、振り付けについて何度も深く考えたことはありますが、これはない、とかいうことを自分に言ったことは一度もありません。だいたい、どんなイメージでも伝えることができると思っています。とはいえ、これはもしかすると自信過剰っぽく聞こえるかもしれませんね。
(というよりは、素直なお考えだと…。)
その先はもうコーチたちが分析するところです。彼らは誰がどんな正確なのか、誰に近いのかということを見ています。私たちのグループの女子のプログラムを傍から見ていますが、そう、本当に似合っているとわかります。
(あなたのどこからその叙情性が出てくるのでしょうか?かなり大変なイメージを現実のものにされていますし、しかもあなたの年齢にあったものだけではなく。)
ええ、そういった意見は何度も聞きました。昨年、Je Suis Maladeのナンバーはあまりにも大人っぽいと言われていました。けれど同時に多くの方が私の演技を気に入ってくれました。とはいえ、氷上で具体化する経緯を理解していました。振付にはそれぞれシナリオラインがあります。私たちのグループには確実にあります。どんなイメージであっても、私は詳細なアプローチをして研究します。「ロミオとジュリエット」については、映画を見て、本もたくさん読みました。「ムーラン・ルージュ」も見ました。Je Suis Maladeを感じとるために、ララ・ファビアンのコンサートの音源をかけていました。
(それは役に立つのでしょうか?)
演奏中の表現を追っていました。作者や作曲家は、曲に自分の意味を乗せて、自分が考えてきたことをそのまま伝えようとしています。そして、それはわかるものです。その方が音楽をよりよく感じ取れます。このテーマは私にとって近いなんてものではありません。14歳でこんなことをいうのはおかしいと思いますが、それを理解しています。私にとっては楽で、気持ちが良いものです。それに加え、女性ボーカルは…。この感覚が気に入っています。
(ダリヤ・ウサチョワのように音楽を感じることを学べるものでしょうか。)
音楽を聞くことを習得するのはできると思います。感じるというのは、もう人の中にあるものです。身体と心の反応です。おそらく、どんな人にもそれはあります。ただ、なにか一定のテーマに対して、異なったレベルで。
(イメージにはどうやって入りこんでいるのか教えて下さい。)
「ノヴォゴルスク」合宿での振付で、曲がかけられます。最初はただ曲を気に入るようになって、その後はもう…。まあ、みんなそうなのか、私がそういう人間なのかはわかりませんが、曲を聞いて、好きな歌では自分の中に没入して、どんなプログラムを考え出してそれを氷上で現実のものにするのかを想像できます。私はそういった演技が頭の中に常にあります。これがたぶん、音楽を感じ取るということなのでしょう。例えば、女の子が歌っているとして、私はその瞬間に、その歌がどんなシナリオなのかを想像し始めます。自分の頭の中で繰り返しそのシナリオを繰り返します。その後文字通りの翻訳を見て、それが自分が想像していたのと近いことを理解します。どんなエレメンツを、どんな動きを具体的な瞬間に入れられるのかを感じます。これは変なことですが、面白いものでもあります。成長したら、誰かに、あるいは自分に何か振付ができればと夢見ています。
(最新曲の中ではどんな曲がプログラムを想像させましたか?)
毎月新しい曲です。何か見つけたら、長い間頭の中に残ることはありますが、その後新しいのが出てきて、前のは重要ではなくなります。プレイリストには曲がたくさんありますが、最近の3-4曲が現時点で一番好きなものです。
(どのくらい長く滑っていたいですか?)
みんな長く滑っていたいと思っているのではないでしょうか。身体が許すかどうかが問題です。まだたった14歳ですが、すでに長く治らない小さな怪我はあります。この先、このレベルで留まれるかどうかは…。歳を取れば取るほど難しくなります。ですので、状況を見てみましょう。多かれ少なかれ高いレベルに到達した人にとっては、フィギュアスケートは単なる趣味ではなく、人生のすべてです。その人生ができるだけ先まで続くよう願っています。そして、引退後もこの世界に残りたいです。
(つまり、業種を変えるのではなく、コーチか振付師になりたいと。)
どちらかといえばそうですね。直接的でも間接的でも、少しでもフィギュアスケートに関係したままでいたいです。「去って忘れる」という選択肢は考えていません。直接関係ない活動になったとしても、どこかでフィギュアスケートに関係していないといけません。アリーナ(ザギトワ)が勉強を始めたジャーナリズムでもそうです。競技と触れ合っているものですから。この関係を維持できる活動はたくさんあります。
(競技の中で、自分のあとにどんな遺産を残したいと思いますか?)
自分の最大限を常に見せたい、というのは当然です。けれど、まあ…みんなの記憶に残る滑りをしたいです。ジェーニャ(メドヴェデワ)やアリーナのように。二人のことがいつか忘れられてしまう、ということはないと思います。同じことが、アリョーナ・サフチェンコ、ハヴィエル・フェルナンデス、羽生結弦にも言えます。彼はまだ滑っていますが。つまり、自分のことを話していてもらえる、ということです。といっても、いい意味だけで。
(とはいえ、あなたが挙げた選手はみんな、世界選手権かオリンピックの金メダリストです。それも含めて記憶に残っているのかと…。)
もちろん、私もタイトルを狙いたいと思っています。それは1位であることに疑問の余地はありません。けれど、信じられないような高みには到達していなくても、みんなが滑りをすごく好きになってくれる選手もたくさんいます。私もそんな跡を残したいです。
(あなたがタイトルを狙う競争に入る機会ももうすぐです。オリンピックシーズンの期待に胸をふくらませているのでしょうか。)
ええ、近づいているのはもう感じています。そしてそれが、この2ヶ月に自分をさらに磨く力とエネルギーを与えてくれます。
(そんなことをこれまでまったく経験したことのない人に、身体的・精神的観点からそれがどんなものか説明してください。)
私の場合は、難しいエレメンツを習得しきることができる時間があるというのは、恐怖感でも、幸福感でもあります。感情がまったくミックスされています。練習以外の時間はそれでもなんとかそこから離れる必要があります。それに頭があまりに悩まされることもあったので。
(意識の切り替えはどのようにできているのでしょうか。)
大会の後は女子たちで散歩に行きます。いまは、休みには母と一緒に過ごし、犬と遊んでいます。
(みなさんのいる「クリスタル」ではもう何か犬のブームなんですね。みなさん少なくとも犬を一匹飼われています。)
みんなではないです。ソーニャ・アカチエワのところにはいません。魚です(笑)。
(まあ、この先にでも。)
知っている限りでは、ソーニャのお母さんはアレルギーがあるので飼えないんです。でも、アレルゲンの少ない犬もいます。ヨークシャー・テリアやマルプーです。こういった犬はいまアリョーナ(コストルナヤ)やアリーナが飼っています。頭がおかしくなるくらい可愛い存在です。そう、年長グループはみんな犬がいますね。ダーニャ・サムソノフ、ジアーナ・デイヴィスとグレブ・スモルキン、カミーラ(ワリエワ)、マイヤ(フロムィフ)…。エテリ・ゲオルギエヴナ(トゥトベリゼ)も、もちろん。私たちのところはこんな犬クラブになっています。
(犬以外では、リンクの外ではどんなことに関心がありますか?)
それでもやはりクリエティブな人間だと思っています。モリス・クヴィテラシヴィリとニーカ・エガッゼは3月8日(※国際婦人デー)にいろいろなものを贈ってくれました。プログラムごとの塗り絵だったり、キラキラのモザイクだったり、毛のフェルトだったり。私は塗り絵をもらったのですが、もうやってしまいました。あと、私とソーニャはいまアルコールマーカーで描くのにハマっています。混ざるので、水彩画みたいになるのです。自由時間を作って、何か音楽をかけて没入すrこともあります。そして、世界のすべてを忘れるのです。
(終わり)
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