ダリヤ・ウサチョワのロングインタビューがRussia Today(RT)に掲載されていたので、3-4回に分けて紹介します。
第3回は、ファンの行動とウルトラCです。
※管理人多忙のため最終回は来週後半以降になります。ごめんなさい!
→アップしました!
ウサチョワ:インターネット戦争の準備はできている。もう自分については聞き飽きた - ファンの行動、ウルトラC、曲の感覚について
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ウサチョワ:インターネット戦争の準備はできている。もう自分については聞き飽きた - ファンの行動、ウルトラC、曲の解釈について
https://russian.rt.com/sport/article/849277-usacheva-intervyu-kvady
ウラジスラフ・ジューコフ / Russia Today / 2021/4/7
(続き)
(チェリャビンスク(※ロシア選手権2021開催地)で、ロシア選手権は幼い選手にとっては何か特別なもので、自分の周りで起きていることを常に驚きと夢見るような目で見ている、とおっしゃっていました。引用すると、「私にとってこの大会はただもうワオ!」。)
私にとっては、ロシア選手権はいまでもワオ!です。やはりあそこでデビューして、代表入りして、クリーンに滑りましたから。ただ、以前は最終滑走でも落ち着いていたのですが、チェリャビンスクのフリーでは…。みんな理想的な滑りをして、アーニャ(シチェルバコワ)の後はもう何と言えば良いのか。彼女に拍手を送って、みんなと一緒に泣きたいと思いました。あれは本当に優勝に十分値するもので、彼女は自分に打ち克ちました。観客席からは何も誰の声も聞こえてこず、みんな放心状態でした。コーチたちも泣いていて、リンクは全面ぬいぐるみで覆われました。一方私は一人で、何をすべきか、どこに行くべきかもわかりませんでした! 一人で走って集中しようとしました。最初のポーズに入って、曲がかかり、行きました。演技注も緊張はありました、もちろん。恐怖ではなく、まさに緊張です。「頑張れ!」と自分に言っていました。それで、全部跳び切れました。スピンはもう少しで分解してしまうところでした。ステップもやりきって、すべてが終わりました。
(どんなプレッシャーの下でやりきられたのか、想像も難しいです…)
精神的には簡単ではありませんでした。あんなことは、初めてでした。しかも、シーズンの重要大会でしたし。
(すでに観客が燃え尽きているときにリンクに入ったのは悔しくはありませんでしたか?)
観客が気持ちを置いてきた、とは思えませんでした。すべて聞こえていて、見えていました。最初は、サーシャ(トルソワ)の滑りでファンから力が抜けた感じがあり、その後は、カミーラ(ワリエワ)の演技後です。アーニャの演技をはさらに。けれど、やはり最終滑走ですから…。一番に記憶に残るもの、とも言えます。もちろん、あんな滑りの後でアーニャを凌駕するような人は誰もいないでしょう。けれど、観客には、私が対処できるかどうかという関心があったと思えます。もしかすると、観客席は冷めてしまうのではなく逆に興奮したのかもしれません。最終グループの全員がこんなに素晴らしい滑りをしたことがいつあったのか、すぐには思い出せません。
(あなたの評価は伸びています。評価とともに自分に対する態度は変わってきますか?)
はい。描写するのは簡単ではありませんがやってみます。私はできる…という感覚がでてきました。頑張れば、もっと良くなると。自分にはチャンスがあるとわかりました。ジャッジは常に公平だと思っています。正直に言うと、こんな高い評価は期待していませんでした。ジュニア世界選手権のフリープログラムでは140点に届かなかったのに、今シーズンはもう150点超えがあります。これはとても嬉しいことで、自信が加わってさらに練習するモチベーションになっています。まだ小さい頃、ジェーニャ・メドヴェデワやアリーナ・ザギトワを見ていて、二人は156点もとっていて、技術点もコンポーネンツも72点以上でした。「いったいどうやったらこんなことができるの?ありえない!」と思っていました。
(いまやあなたもほとんど同じだけの点数を取られていますね…。)
はい。これは、驚きであるのと同時に、不可能なことは何もないということを理解するのに役立っています。プロトコルを手にとって、なぜこのような評価が付けられたのかを理解します。
(いまはできるとおっしゃいましたが、以前はできなかったと?)
いいえ、もちろんできたはずです。これは、どちらかというとモチベーション問題です。目に見えて大きくなりました。
(とはいえ、いずれにせよ高い評価は期待していなかったと。)
最初の大会はそうです。その後はもう、どこで良いジャンプを跳べてどこが悪かったか、どのスピンが回りきれなかったのかをいずせにせよ感じていました。そして評価はその感覚と合っていました。155点のところもあれば、150点のところもありました。
(しかし、あなたの得点に関する議論がマスコミやファンの間でなされているのをおそらくご覧になった小とでしょう。)
もちろん見ました。どうやったら見ないでいることなんてできるでしょう。それぞれにそれぞれの意見があり、贔屓の選手がいます。贔屓の選手の後ろに、まるで親のように、山のようにそびえ立つファンもいます。これは普通のことです。
(ロシアはそんなファンが大多数です。)
そうですね。どこを見ても、SNSですでに戦争が始まっています。これには驚きです。そんなこと、ありえますか?
(そのうちあなたに賛同して、あるいは反対しての戦も始まることに、用意はできていますか?)
ええ、インターネット戦争への準備はできています。今年でももう、自分についても、他の選手についてもいろいろな新しいことが聞こえていきました。
(聞こえてきたと。)
ええ、「メガスポルト」で、観客席から。
(つまり、リンクまですべて聞こえてくると?)
演技が始まるまでの静けさのなかで滑っていると、すべて聞こえます。モスクワでのロシアカップ第2戦では、「ジャッジ、誠実に判断してくれ」と聞こえました。カミーラ(ワリエワ)が出てくる時に、「転べ!」と叫ぶ人さえもいました。それはもうやりすぎです、そんなことはしてはいけません。
(そういったファンに対して、あなたなら何を言いますか?)
誰に対しても悪いことを願う必要はありません。人生にはブーメランがあると思っていますので、そういったことすべてが後になって戻ってくるかもしれません。最強の選手が優勝して、何ができるのかを見せてくれればいいんです。転倒を願うというのは、ただもうひどいことです。あなたが叫んでも、いずれにせよそれで誰も転んだりしません。
(今シーズンの間に、本質的に学んだことは何でしょうか。)
自分の感情をコントロールすることです。自分を調整して、そこに怖いものは何もない、すべてを跳び切ることができる、クリーンに、ということを自分に吹き込みます。そんなに難しいことじゃないと。大切なのは、信じることです。これが私には役に立ったと言えます。
(あなたが出場した大会の結果について、多くの人がこうコメントします。「誰々が勝ったけれど、ウサチョワは、ウルトラCのエレメントをしない中で一番だった」と。)
ええ、私も気づきました。
(あなたを「軍拡競争」に入れようと追い立てられていることには苛つきませんか?)
逆に、みなさんが信じてくれていることは嬉しいです。いま、毎日、毎回の練習で、難しいエレメンツに注意を割いています。前進はしています。回転不足ですが、降りたことはもうあります。これはちょうど私たちが最初に話していたことです。シーズン中は演技に集中していて、何かを習得するのは残った時間でだけだと。いまは逆に、すべての時間と集中力がそういったジャンプに向けられています。
(トリプルアクセルとクワドサルコウですか?)
そうです。
(両方いっぺんに練習されているのですか?)
いまはアクセルです。とても成功に近いトライはありました。いますぐにアクセルを成功させて、サルコウに移りたいです。
(つまり、プログラムの変更が予定されていると。)
私はそうしたいと強く思っています。
(ロシアカップ・ファイナルでは、トリプルアクセルよりもクワドサルコウを跳ぶほうがやりやすいとおっしゃっていました。私はあなたのダブルアクセルをずっと見ていましたが、なぜかはわかりませんでした。)
どこに問題があるのかを理解したのは最近のことです。私の頭の中には、トリプルアクセルは別のジャンプだという考えが居座っていました。ダブルアクセルとは違うと。それで、トリプルアクセルは違ったやり方で跳んでいました。それが間違いでした。そのため、技術的にはもっとひどいことになっていたのです。高さも低く、着氷も激しく、などなど。いまはトライアンドエラーで、トリプルアクセルをなんとか感じられるようになりました。
(どのくらい前でしょうか。)
本当にここ数日のことです。
(つまり、来シーズンまでにはウルトラCのエレメンツを揃えるのが間に合うと。)
そう思います。
(あなたの状況は、アリョーナ・コストルナヤが2019/20シーズン開始前にあった状況をどこか思い起こさせます。彼女には悪くない点数が付けられていましたが、トリプルアクセルなしで金メダルを争うのは難しかったです。アリョーナは、そのことについての会話が競技面で彼女に火をつけて、習得に駆り立てられたと認めていました。もしかすると、あなたにも同様のモチベーションが必要なのでは。)
ああ、そういったモチベーションだったらもうたくさんです(笑)。そして、役に立っています。毎回の練習には、まるで大会のように、戦のように、すべて準備ができた状態で入ります。今日はフリーを滑る必要がないと感じると、すべてのエネルギーを新しいジャンプに注ぎ込むことができます。その方が簡単です。
(コントロールしてくれていた主要コーチがいない間は、どうやってウルトラCを練習していたのですか?)
アルチョーム・プーニンがいました。彼は素晴らしいジャンプの専門家です。私は彼と一緒に3回転ジャンプすべてと「3+3」のコンビネーションを習得しました。私たちが習得したことを見せる必要があれいば、動画にとってコーチたちに送って、すべて問題ないことを見てもらいます。
(つまり、彼らは遠隔でもコントロールしていたのですね。)
いつでもどこでもすべてをコントロールしています(笑)。
(そういったコントロールは、精神的に疲れませんか?)
いいえ。そこから疲れることはできないように思います。注視してもらえるのは、逆に良いことです。
(続く)
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