エテリ・トゥトベリゼ・コーチが、ジャーナリストのウラジーミル・ポズネルのインタビューを受けた記事がBusiness Online Sportに掲載されていましたので、4回に分けて紹介します。4月の記事でちょっと古いのですが、興味深いです。エテリ発言部分だけ完訳で、質問部分等その他は抄訳。
トゥトベリゼ:表彰台から落ちたら、何者でもない
(1)ジュニア女子の指導 ← この記事
(2)リプニツカヤ/アジア系女子/厳しさ
(3)アイスダンスのキャリアとアメリカへの移住と帰還
(4)ドーピング/好きなスケーター
(続く)
トゥトベリゼ:表彰台から落ちたら、何者でもない
(1)ジュニア女子の指導 ← この記事
(2)リプニツカヤ/アジア系女子/厳しさ
(3)アイスダンスのキャリアとアメリカへの移住と帰還
(4)ドーピング/好きなスケーター
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ポズネルを訪ねたトゥトベリゼ - オクラホマのテロ、ジュニア女子への批判と厳しさ
2019/4/2 / Business Online Sport / ルスタム・イマモフ
「成熟した女子選手に、求められる身体がないとしたら、彼女のことは見ないのでしょうか?」
(「女子シングルでは魅力的な身体を持った美しい女性が求められている」とのジューリンのコメントに対し)
ジューリンの言っていることは興味深いです。例えば、成熟した女子選手が傑出した身体を持っていないとしたら、彼女のことは見ないのでしょうか?つまり、彼の理解における成熟した身体を持っていないために、彼女は競えないということになります。これには賛成できません。絶対に。
(特別な添加物を用いて成長を抑制しているとのトゥトベリゼに対する批判に対し)
時々、冗談めかして言うことがあります。「成長を止める魔法の薬をちょうだい。もしかすると使えるかも」と。なぜなら、今シーズンわたしたちはとても大変だったのです。アリーナは変化し、成長し、体格的に小さめの大人の女性へと変身しました。そのために私たちの道のりは困難になりました。偶然の金メダリストではないと証明したかったのです。
(常に負荷をかけることで身体の成長が抑制されるとトゥトベリゼは考えている)
もしスケートをやっていなければ到達したであろう身長よりは、いずれにせよちょっとだけ低くはなるでしょう。体格も負荷により少し小さくなります。しかし、女の子たちを休暇に送り出してしまうと、どうなって戻ってくるかは誰にもわかりません。練習がより難しくなるかもしれません。その期間に彼女たちは成長するのです。負荷が減ると、身体組織は成長にエネルギーを回します。
ジュニア女子
(イリーナ・ロドニナの、フィギュアスケートには4回転以外に何もできないシングル女子ではなく、個性の競い合いを期待しているとの発言に対し)
ああ、それには答えることがたくさんありすぎます。彼女にはまったく同意できません。彼女には人生を誓っても良いくらいの功績がありますが、実際の指導者ではありません。そう判断するのは正しくありません。
ソトニコワがロシア選手権で優勝したのは12歳のときでした。ソトニコワはオリンピック金メダリストとなりました。ジェーニャ・メドヴェデワは14歳で表彰台に上り、この先も耐えていけることがわかっていました。いま12歳の女の子が全米覇者となりました。トリプルアクセルを跳びましたし、今はクワドルッツを跳んでいます。最も難しい4回転ジャンプです。
これは進歩であると見られたから、彼女たちは出場が認められているのです。私たちは自国でジュニア女子の出場を認めることを恐れ、代表チームメンバーの神経を刺激することを恐れているのです。今はもしかすると、彼女たちを刺激して、何と戦わなければならないのかを知ってもらったほうが良いのではないでしょうか。なぜジュニア女子を抑制して出場を認めないのでしょうか。しかも8月からは彼女たちはシニアに移行し、ロシアを代表することになっています。
彼女たちがいましていることをするのは問題とは思っていません。ただ、選手たちが周りのことすべてに注意を逸らされ始めていることは例外です。実際の経験が示しているとおり、成長とともに選手たちの練習量は少なくなり、自分のことを労を厭うようになり、出し惜しみをするようになります。これが練習プロセスを阻害します。
14-16歳のティーンエージャーは何にも注意を逸らされません。結果に対して貪欲です。結果を出すとすぐに労を厭うようになります。これが邪魔です。身体的にはなんでもできます。しかし、19歳か20歳でなにか新しいエレメントを学ぼうとは私なら思いません。なぜなら、身体はもうそんなに柔軟ではないからです。新しいエレメントを学ぶことはどれも怪我につながります。より若い年齢で新しいことを学んだり試したりするのは、精神的にも簡単ですし、小さな怪我もすぐに治ります。
ジャンプの恐怖
3-3のコンビネーションジャンプは、今ではルーマニアや他の国の選手たちも跳んでおり、もうひとつの街ができるほどです。さらに先に進む必要があります。どこかで突き抜けるためには、トリプルアクセルや4回転ジャンプに出ていかなければなりません。選手にとって頂点となるジャンプです。選手はそういったジャンプに踏み込むことを精神的に恐れています。恐怖という感情、これが怪我の一番の原因です。ジャンプの最中に考え直したり、正しくない開き方をしたり、なんでもあり得ます。
酔っ払いを2回から放り投げても、衣服の埃を払って先へと歩いていくだけでしょう。なぜなら彼は恐怖の感情がオフになっているからです。一方、怖がる者はすべてを壊してしまいます。同様に、いま滑っている子供たちも、4回転ジャンプを、なにか当然のものとして受容しなければなりません。現在の世代が3回転を普通に跳んでいるのと同じように。かつては3回転を跳ばせるための2回転を教えました。同様に今は、4回転を跳ばせるための3回転を教えければなりません。
(続く)
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