「エテリの実際はまったく違う」-トゥトベリゼの元教え子、アドニエフ・コーチのインタビュー
エリヴィラ・オンダル / 2020/7/14 / Gazeta.ru
(続き)
フィギュアスケートではなぜ選手を奪い合うのか - それは、選手一人一人がお金だから
(いまはどんな選手たちの指導をしているのですか?)
小さなグループです。最近作ったもので、第2コーチもいます。集中指導や個別指導の方がいまはよいので、あまりたくさんの選手を集めていません。
それに、どんなときでも子どもたちを他のコーチから奪わないようにしています。そうする人はロシアではたくさんいますが、理解できません。簡単ではない子どもたちを採って、立派な選手にするのが素晴らしいと思っています。とても良い感覚です。
コーチはまさにそこから初めて、才能ある子どもではなく普通の子どもをゼロから指導する能力がなければならないと思います。そういった能力がある専門家は、私にとって良いコーチの指標になります。ただ、多くのコーチは出来上がった選手を採用していますが…。
なぜエテリ・ゲオルギエヴナに対し、彼女があたかも出来上がった選手ばかりを採用しているといった馬鹿げたことが書かれているのかが理解できません。もちろん、彼女の下には素晴らしい子どもたちが移籍してきます。なぜなら、金メダリストになりたいならエテリの下に行かなければならないとよく理解しているからです。しかし、彼女はどこからスタートしたのでしょうか?
彼女と私のところがまったく問題なかったとお思いですか?もちろん違います。彼女も子どもは全員受け入れていました、誰かを指導しなければならなかったので。
(奪い合いのテーマに戻ると、なぜフィギュアスケートでは頻繁に起こる現象なのでしょうか。)
子供一人一人は何でしょうか?お金です。子どもが多ければ多いほど、お金も多くなります。
選手自身が移籍したいと思うなら、まずはコーチと話すべきです。私なら、無理に説得するような非常手段には出ません。
というわけで、奪うことはしません。想像してみてください。あるコーチが、私がプログラムを振り付けてスケーティングの指導をするよう教え子を預けてくれたとします。それを私が奪ってしまったら、落ち着いて寝ることもできなくなるでしょう!
(あなたの今のグループは私的事業ですか?スクールに所属しているわけではないと。)
そうです、私的事業です。スクールの所属するなら、エテリ・ゲオルギエヴナのところか、その水準のところだけです。
(フィギュアスケート界で事業を起こすのは、いまはどのくらい難しいのでしょうか。)
本当に難しいです。いや、多くの小さな子どもを集めて素晴らしいビジネス・ピラミッドを打ち立てることはもちろん可能でしょうが、そんなことはまったく望んでいませんし、正しいとも思っていません。
なにか特別な子どもはいませんが、何を与えられるかはわかっています。いずれにせよ滑りは良くなりますし、素晴らしいプロも滑れるようになります。感動的なことです。
私は全般的に言えば小さな子供たちを指導するのが好きです。いつも仲良くなります。よく怒りっぽい細かい完璧主義のコーチと思われがちですが、好いてもらっています。リンクを出たら、みんなを笑わせています。
いまは教え子が何人か自分のところに家賃なしで住まわせてもいます。ウラジオストクから来て練習をしているのです。部屋はもうボロボロです(笑)。
ゲームで遊んだり、いつも踊ったりしています。こういったことには慣れています。姪が2人いて、まだ2-3ヶ月のころから面倒を見なくてはなりませんでした。リンクから戻ってきた後は面倒を見ていました。姉は働かなくてはならなかったので。
(何人一緒に住まわれているんですか?)
3人です。あと2人来ることになっています。正直言うと、飽きることもありません。私にとっては素晴らしいことです。自分の子供もほしいのですが、まだ時間が作れません。
3回転を最初の練習日で思い出したかのような動画をアップしている人もいるが、実際はもう半月滑っていたりする
(ロシアの選手はリンクに戻ってからとても速いスピードでジャンプを取り戻しはじめました。アンナ・シチェルバコワは練習を再開して1週間で3Lz+3Tを跳びましたし、アレクサンドラ・トルソワは4Lz、ドミトリー・アリエフは最初の日に4Tを跳んでいました。)
アリエフが最初の日に4回転を跳んだと信じていますか?
(彼は動画をアップしました。)
選手たちはもっと早くから滑っていたのかもしれません。そんなことは言えないのでしょうけれど。シチェルバコワが1週間で3回転3回転を跳んだことは、信じられます。ただ、4回転を最初の日にというのは…本当なら素晴らしいことですが。
ただ一方で、いずれにせよ愚かなことです。練習再開してすぐに怪我をしないようにと思います。大会で跳んだ方が良いです。
(以前は、氷上でジャンプをこんなに早く取り戻すのは身体的に不可能だと思われました。みんな、またスケート靴を履いて立つところから新たに始めるようなものではないかということを心配していました。結果として、みんな素晴らしい進捗です。)
いま、多くの選手をSNSで見ています。誰かがリンクで、女子選手が最初の日で3回転を戻したかのような動画を撮ってアップしているけれども、実はすでに半月も滑っている、というようなことには頭が来ます。
そしてその後、「隔離状況下でも滑っていたなんて言えないでしょう」と説明するのです。なぜみんなに嘘を付くのでしょうか?良い宣伝になるからでしょうか?軽蔑します。
インスタグラムでは、多くの人が自分を売って素晴らしい動画を作っていますが、何もすることがないのかと思えることもあります。一日中、どんな指導をしているのかの動画をアップしているのです。
本当に指導をしたいなら、そういったことをする時間はありません。手に携帯を取って指導を撮影し始める、なんてことはなぜ必要でしょうか?指導に夢中でそんなこと考えられません。コーチがずっと動画をアップし続けているなら、そのコーチはもちろん良いビジネスをしていると思いますが、指導ではありません。もうかって笑いが止まらないのではないでしょうか。
(例えば、エヴゲニー・プルシェンコはよく指導のコンテンツをアップしています。これは、彼が指導に多くの時間を割いていないことを意味しうるのでしょうか。)
いいえ、彼のところには撮影をしている人たちがいますから。彼はそういったこともできるでしょう。
ただ、エヴゲニーは、私が覚えている限り、昨シーズンは指導の場にいないことがよくありました。ショーが大量にあるからです。サーシャ・トルソワが移籍したいまは、ショーやその他のことが減ることを願っています。
トゥトベリゼはシチェルバコワに出ていくよう言い、その時期は私が彼女を見ていた
(SNSで、いまは多くの選手に振付けの問題があると書かれていました。ジャンプの回転数にばかり集中しているからと。)
正直に言うと、興味深い振付けは多くありません。みな技術面に重点を置き、回転数を追いかけています。理解はできます。4回転を持つ選手に追いつこうとしたら、どんな美しいプログラムも助けにはなりません。以前は興味深いぷろが多かったですし、すべてがもっと何か鮮やかに見えていました。もしかすると、違う視点で見ていたのかもしれません。
しかし今シーズンは、例えばコストルナヤのプログラムは良かったです。私にとってアリョーナ(コストルナヤ)は魅力的な氷上の女神です。
また、アーニャ・シチェルバコワのプログラムもとても気に入りました。彼女には以前良く指導をしていました。トゥトベリゼが彼女をグループから出ていくよう言ったのです。私も同じ時にグループを去ったので、アーニャを指導していました。
(そんなことが…その事実については聞いたことがありませんでした。)
その頃アーニャの指導をしていたことは誰も驚くことではないと思います。自分とプーニンが一緒に指導していました。彼がジャンプ担当で。シチェルバコワに3回転を覚えさせたのは誰でもなくまさに彼です。プーニンもトゥトベリゼの教え子でした。
アーニャは彼がジャンプを担当し、私はプログラムとスケーティングを指導していました。その後になって、エテリ・ゲオルギエヴナがまたシチェルバコワを自分のグループに採用したのです。
エテリはすでに偉大なコーチでしたから、これは普通の状況です。いま、彼女は全員に「いい子ね、3回転を全部跳べるようになってからいらっしゃい、採用しますので」と言っています。彼女の功績はすでにもうしっかりしていて、みんな彼女のところを目指してくるので、こうやるしかないのです。
(エテリのグループから出ていく前、アンナは何が跳べていましたか?)
2回転とダブルアクセルを跳んでいましたが、深刻なエラーがあったので誰もそれに取り組みたいと思っていませんでした。コーチたちにはもう指導する選手たちがいたので、アーニャに時間を費やすのに意味がなかったのです。
(シチェルバコワはトゥトベリゼのグループに戻るまでどのグループで練習していたのですか?)
グループには入っていません。彼女の両親がプライベート・レッスン料を支払って練習させていただけでした。
(「クリスタル」でですか?)
いえ、私たちはコムナルカの「スネシ・コム」のリンクで指導をしていました。
2014-15年のことです。そして、2015年のシーズン末にアーニャはトゥトベリゼの下に3回転すべてをもって戻り、すぐに採用されました。そして、いまやその結果を私たちは見ています。
シチェルバコワは信じられないほど感情を乗せるのがうまく、今シーズンも素晴らしいプログラムに仕上がっていました。コストルナヤを除く他のすべての選手のプロは、私はあまり好きになれませんでした。とても悲しかったです。
振付師として、美しいプログラムを見るのが好きです。やはり、フィギュアスケートはフィギュアスケートのままであってほしくて、女子選手にはそれを失ってほしくないと持っています。男子よりもジャンプが跳べるようになり、男子を見ると、女子と同じようにスケーティングができるようになっています。
すべてが急に開けてきて、スピンも面白いものをするようになり、みんな柔軟性が高まってきましたが、こんなことは今までありませんでした。女子は跳んで跳んで跳びまくっています!それを見て、「ああ、フィギュアスケートはすべてが変わったな」と思うのです。
(終わり)
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