2020/9/2に引退を表明したダリヤ・パネンコワのインタビューがSport Expressに掲載されていましたので、前中後編で紹介します。今回の後編は、移籍やザギトワ、SNSについてです。
「エテリのジョークは面白いが、彼女の冷やかしに腹だたしくなることもあった」-ダリヤ・パネンコワが語る
(後)移籍、年齢、友人とSNS ← この記事
「エテリのジョークは面白いが、彼女の冷やかしに腹だたしくなることもあった」-ダリヤ・パネンコワが語る
ドミトリー・クズネツォフ / Sport Express / 2020/10/2
(続き)
(あなたはかつて突然グループから去られましたが、このシーズンオフも多くの移籍がありました。「クリスタル」からアレクサンドラ・トルソワと、アリョーナ・コストルナヤが去りました。これはプレッシャーの影響の可能性もあると思われますか?)
プレッシャーはもちろんあります。エテリ・コーチが目を見てくるだけで、食べられてしまうんじゃないかという感じがします。一方で、それは良いことでもあります。しかし、15-16歳の女子に対しては、もしかすると違うものが必要なのかもしれません…わかりませんが、いずれにせよ女子選手は移籍しています。それは普通のことで、移籍は犯罪ではまったくありませんし、私は移籍制限には反対です。プルシェンコのグループで女子選手たちはよりやりやすく、落ち着いている、ということもありうるでしょう。
(不適切選手リスト(※コストルナヤがコーチに提出したとされる一緒に滑りたくない選手リスト)については覚えていますか?)
いえ、あのグループではそういったものはありませんでした。親しくしているくらいでした。正直に言いますが、あそこではみんな仲良くしていました。サーシャ・トルソワは、ある練習の後で、自分がしたことは後悔するものではなく、すべては自分のためにしているんだという助言をしてくれました。その言葉をずっと覚えています。
最後のシーズン、エテリ・ゲオルギエヴナ(トゥトベリゼ)は、私を罰して、セヴァ・クニャゼフやアルセニー・フェドトフのいる年少グループに配属させました。3回転を戻したら戻ってきなさいと言って。つまり、普通は年長組は年少組と一緒に滑らないのです。そして、子どもたちが足元で邪魔をするので滑りにくいと言ったアリョーナ(コストルナヤ)に同意します。
(しかし、いったいどうして一緒に滑ることになりえるのでしょうか。)
こういったことがあったかもしれません。以前、エテリ・ゲオルギエヴナ(トゥトベリゼ)は、氷上練習でプログラムの滑りがひどかったら、滑り直しのために年少組の氷上練習に振り分けていました。アリョーナも含めどの選手も罰を受けて滑り直しのために年少組に送られる可能性があります。「お気に入り」というのはあのグループにはありません。ただ、助言を多く受ける選手もいれば、支援の方が必要な選手もいます。
(プログラムを振り付けてもらったとき、音楽が気にいらないと断ることはできましたか?)
そういったことは2回ありました。Ne me quitte pas(注:2017/18シーズンのフリー)が好きじゃなかったのです。けれど、プロの振付を始めてから、これは自分向きだと理解しました。同じことが、「クリスタル」に入ったばかりの頃のクリスチーナ・アギレラについても言えます。これは、エテリ・ゲオルギエヴナ(トゥトベリゼ)自身が振り付けてくれました。最初は曲が合わなくて、違うものを試したりもしていました。意見が一致しないまま、大会が近づいてきて、「アギレラでやりましょう、似合ってると思います」と言われました。それで、それがどれだけうまくいったことでしょうか!いまでも見直すのが大好きです。つまり、エテリ・ゲオルギエヴナ(トゥトベリゼ)は拒否はせず、意見を聞いてくれます。ただ、ときには曲をよく聞かなければなりません。選手にどのように合うのか観察するために。
オリンピックの表彰台に上るチャンスはあった
(みんな仲良くしていたとおっしゃいましたね。しかし、エテリ・ゲオルギエヴナ(トゥトベリゼ)は、メドヴェデワはザギトワをジュニアに残すよう頼んだということを暗示しました。そして、その投稿ではアリョーナについても言及されています。)
そういったフレーズがあったかもしれませんが、100%の信頼性は保証できませんし、他人の言葉に責任は持てません。しかし、アリーナ(ザギトワ)には他にはないチャンスが降りてきました。オリンピックがシニア1年目に当たって、しかも急にチャンスはやってきたのです。このチャンスを彼女から奪ってはいけなかったでしょう、正しくないことです。私にはそのチャンスはありませんでした。いま、フィギュアスケートでは年齢で多くが決まります。私はオリンピック・シーズンは素晴らしいものになりましたが、年の後半に生まれたので、シニアに出ることはできませんでした。オリンピックの表彰台に上るチャンスはあったのです。しかし…。後で母には「私のこと、もう少し早く産めなかった?」と言ったことがあります(笑)。
(エテリ・グループで友人は誰かいますか?)
いまも多くのフィギュアスケート関係者と連絡を取っています。友人ですか?アリョーナ・コストルナヤ、アリーナ・ザギトワです。ザギトワとは同じ日にグループに来て二人で通い始めて、仲良くなって、一緒にランニングをしていました。交流はしていましたが、フィギュアスケートのテーマには触れませんでした。ちょっとエレメンツについて話したことはありますが、直接お互いを助け合っていたとは言えません。
(一般的な意見ですが、ザギトワは引っ込み思案な人だと。しかし、4年くらい前のテレビ映像では、ジョークを言い合ったり感情が多く出ていたのを覚えています。これは、「クリスタル」が彼女をこのように変えたのでしょうか。)
ある程度そうですし、ある意味では違います。彼女はそれまでも引っ込み思案な女の子でした。けれど、映像で面白いことをするのは気に入っていました。その後、成長をはじめて、世界観が変わり、自分のことをたくさんの人が見ていることを彼女は理解しました。つまり、彼女は依然として引っ込み思案なままですが、ジョークは子供の頃に残してきたのです。
(エテリ・ゲオルギエヴナはSNSを管理していますか?コーチはどれだけ関与しているのでしょうか。)
私が写真を投稿したときに、彼女に「うーん、あんまり」と言われました。そういったことを言うことはありました。あるいは、文章を正しく書いていなかったことがあって、綴り間違いがあったのですが、それでダニール・グレイヘンガウスが教えてくれたこともあります。エテリ・ゲオルギエヴナも、どう書いたらよいのかを教えてくれることもありました。怪我についてはあまり拡散しないよう助言されたとは言えます。
(アリーナについてですが、インタビューであなたが彼女のルッツのエラーについて話されていたことがありました。そしてその後、まるで爆弾が爆発したかのようになりました。)
それがひどく広まってしまって!アリーナは何もできないだとか…。それで、しばらくの間、話もしなくなりました。彼女は傷ついたのです。その後仲直りして関係は戻って、いまはすべて問題ありません。私は、よくあることですが、フリップに問題があって、入り方を修正しました。そこには特別なものは何もなく、よくあることです。ヘイトを垂れ流す人たちは…おそらく、彼らには十分な注意が向けられていないのでしょう。私にダイレクトメッセージを書いてきた女性に回答したことがあります。パン屋さんの販売の方でした。彼女は私に対し、「あなたは何も達成できずに下に座ったままだけれど、アリーナは王位にいます」となんども繰り返してきました。私は抑えきれずに、「ではあなたは何を達成したのですか?」と。こういったメッセージは変だと思います。スクールでもあとで叱られて…。そしてその後、インタビューを見直してみたら、言っていないことは書かれていませんでした。みんな、本質を見ておらず、タイトルに反応しているのです。
(スケート靴が切られていたとか、ウォームアップ前に足をかけて転ばせるとか、キャリアでそういったことはありましたか?)
いえ、そういったことはありませんでした。そういったことがすべて私にはなかったのは、本当に良かったです。とはいえ、多分敵はいたでしょう。ただ、私はすべてのものを身につけて自分で運ぼうとしていましたから(笑)。
(最後に、今シーズンについてです。期待しているものはありますか?移籍した女子選手たちについては、失敗するとか、懐疑的な意見も多いですが。)
テストスケートを見ましたが、アリョーナのショートは大好きになりました。格好良いです。とはいえ、強力なショートは多かったです。サーシャ・トルソワや、カミーラ(ワリエワ)のも。アーニャ(シチェルバコワ)は両プログラムとも良いです。失敗については…シーズンを見てみましょう。私は、彼女たちが失敗するとは思っていません。唯一、年齢が邪魔をするかもしれません。成長期というのは、自分は両脚を締めようとしていても別な方向に行ってしまう時期です。女子選手たちが成長しているのは明らかで、これが移籍と重なるため、コーチ変更の影響だとみんな言うでしょう。そこにリスクがあります。
(終わり)
0 件のコメント:
コメントを投稿