2013/11/21付で別ブログ「ロシアン・フィギュアスケート・フォレヴァ」に掲載した記事です。
そこは問題が違う。シーズンの基礎はだいたい4月にできる。アシュリーが私のところに来たのは夏だ。皆、彼女は良くなったと言っている。しかし、言うまでもなく私達の時間は非常に限られたものだ。コーチにとってアスリートを教えるという仕事が完全に発揮されるのは、1-2年では足りない。バトルも4年教えていた。アメリカのコメンテーターが書いた記事を読んでひどく悔しく思ったよ。世界選手権の後に、バトルが「雨粒を避けて1位を取った」と書かれたんだよ(註:運良く優勝したの意か)。ジェフリーはその時4回転を持ってなかったのに、彼に勝てるポテンシャルをもった他のスケーターに勝ったからね。
(そういった状況をどうお考えですか?エヴァン・ライサチェックがバンクーバー・オリンピックで優勝したこととか)
非常に単純だ。一定の点数システムを考えだしたからには、その点数を何で稼ぐかということは、重要な問題ではなくなるということだ。気に入らないのなら、例えば4回転には100万点の価値があるよな他のシステムを考え出せば良い。そうなれば、氷上で何をするかという問題は全く違ってくる。しかし、他にやり方はあるだろうか?例えば、今私のところには14歳のネイサン・チェンがいるが、アクセル以外の3回転だけでジュニアグランプリシリーズで2回優勝した。特に、2回の3Aと4回転を跳ぶ18歳の日本人の上を行ったのだ。ただ、私の教え子はほぼ全てのエレメンツでプラスをもらって、4回のジャンプをプログラムの最後に跳んでいるからだ。
私の考えでは、4回転ジャンプというのは、ケーキの上に乗ったさくらんぼのごとくスケーターに備わっているべきである。それがあるということは素晴らしい。さくらんぼが何個かあればもっといい。しかし、さくらんぼがなかったとしてもケーキはケーキのままだ。ただ、現在の男子シングルでは4回転1つというのは恥ずかしいと言わざるを得ない。プルシェンコはかつて4回転を4回、しかも複数の種類を跳んでいた。10年以上前には、4Tと4Sの他に練習では4Lzと4Loを試していたと確実に知っている。しかも時にはかなりうまく出来ていた。
プルシェンコとあたかも争っていたかのような他のスケーターにとっては、4回転は釣りに行くようなものだった。釣り竿を持って座って占うんだ。食いつくか食いつかないか?食いついたら、今度は釣り上げられるか釣り上げられないか?その時のプルシェンコにとっても、ルッツやループは同じような釣りみたいなもんだったろう。しかし4Tであれば、いわば昼でも夜でも好きなときに目をつぶってでも跳べただろう。まさにそのために、長きにわたって全く手が届かない存在だったのだ。今は違う。今は男子シングルは全く違う状況だ。プルシェンコ自身が、誰よりもよくそれを理解している。ソチで彼が何かを「捕まえる」ことができるか、もうそうでないかについて。私は議論したことはないが、彼が知っているということははっきりとわかっている。プルシェンコのようなスケーター、ライサチェックやミシェル・クワンといったスケーターには全てわかっている。
(女子のオリンピックについてはどう見ていますか?)
(ジャッジがリンクを違った角度で見ているとおっしゃりたいのですか?)
ラファエル・アルトゥニヤンのインタ(後):プルシェンコ、バトル、ライサチェック、ワグナー、ネイサン・チェン、キム・ユナ、浅田
昨日の記事の続きです。
* * *
エレナ・ヴァイツェホフスカヤ
(続き)
(なぜバトルはキャリアをそんなに早くに終えてしまったのでしょうか?)
* * *
ラファエル・アルトゥニヤン「プルシェンコは知っている、といことを私は知っている」
http://www.sport-express.ru/velena/reviews/38117/エレナ・ヴァイツェホフスカヤ
(続き)
コーチギルドの標準器
(なぜバトルはキャリアをそんなに早くに終えてしまったのでしょうか?)
彼が私のところに来て言ったんだ。「すみません、私はこれ以上自分に強制することはできない」と。残念ながら、世界選手権直後のことではなくて、もう強力な教え子をもらう可能性がなくなった9月のことだった。なので、少しの間全員を順番に教えていた。今はアシュリー・ワグナーを教えているが、彼女もニックスが私の所に送ってきた。
(アメリカのコーチはあなたのことが何らかの理由で好きなようですね)
(アメリカのコーチはあなたのことが何らかの理由で好きなようですね)
そのことについては考えたことがある。もしかすると、誰のことも自分のところに誘い出そうとしなかったからではないか。私のところで滑ったスケーターで、事前に交渉したことなんて一度もなかった。アメリカではこのことに注意を向ける。非常にきっちりしてるんだ。ロシアのシステムでは、アメリカ人コーチは生き残ることは不可能だと思う。
(でも、もうレイク・アローヘッドでは練習していない)
(でも、もうレイク・アローヘッドでは練習していない)
ええ、そこで12年働いて、9月1日にミシェル・クワンのリンクに移った。私が去った後すぐにレイク・アローヘッドのセンターは閉鎖になった。オーナーが利益を出さないと考えたのだ。
ミシェル自身はホワイト・ハウスで働いていて、結婚し全てが順調だった。リンクを経営しているのは彼女の父親だ。私がレイク・アローヘッドを去ろうとしているのを知って、電話してきて「何が必要か言ってくれ。ここに来ればなんでも揃える」と言ってくれた。
(私との会話で以前、「ああ、私はフランク・キャロルじゃないから」と言っていたが、あなたの方が下だとお思いで?)
ミシェル自身はホワイト・ハウスで働いていて、結婚し全てが順調だった。リンクを経営しているのは彼女の父親だ。私がレイク・アローヘッドを去ろうとしているのを知って、電話してきて「何が必要か言ってくれ。ここに来ればなんでも揃える」と言ってくれた。
(私との会話で以前、「ああ、私はフランク・キャロルじゃないから」と言っていたが、あなたの方が下だとお思いで?)
まず、私のほうがだいぶ若い。
(コーチにとってそれはマイナスではないでしょう)
(コーチにとってそれはマイナスではないでしょう)
ニックスやキャロルと違って、私にはコーチのギルドはなかったんだ、わかってほしい。彼らは特別な人たちだ。全ての意味で基準となる人たちだ。コーチがどのように振る舞うべきかという前例だ。そのニックスは、7月始めに私のところにワグナーを送ることを決めたのだが、彼の視点から、私がコーチとして知っておかなくてはいけないことについて、いくつかの問題について話したいと電話で言っきてた。彼が来ないよう説得したよ。ジョンは今年84歳になるし、レイク・アローヘッドへの道は若くて健康な人でも気圧の変化から頭がくらくらするようなところだからね。しかし彼はそれでもやってきた。念のため、娘を車に乗せてね。私達は一時間ずっと話し込んだ。ワグナーは、相談する必要があれば今でも彼の所に通っていると知っている。私はレイク・アローヘッドを去ろうとしているのを知ったニックスは、その瞬間に支援を提案してくれた。彼はリンクの共同オーナーなんだ。それが私には嬉しかった。ニックスはフィギュア界の伝説だからね。キャロルもだけど。
(今、アメリカ・チャンピオンとなってオリンピックにアメリカ代表No.1で出られる能力が完全にあるスケーターのコーチをしていますが、責任感がプレッシャーではないですか?)
彼がは知っていると私は知っている
(今、アメリカ・チャンピオンとなってオリンピックにアメリカ代表No.1で出られる能力が完全にあるスケーターのコーチをしていますが、責任感がプレッシャーではないですか?)
そこは問題が違う。シーズンの基礎はだいたい4月にできる。アシュリーが私のところに来たのは夏だ。皆、彼女は良くなったと言っている。しかし、言うまでもなく私達の時間は非常に限られたものだ。コーチにとってアスリートを教えるという仕事が完全に発揮されるのは、1-2年では足りない。バトルも4年教えていた。アメリカのコメンテーターが書いた記事を読んでひどく悔しく思ったよ。世界選手権の後に、バトルが「雨粒を避けて1位を取った」と書かれたんだよ(註:運良く優勝したの意か)。ジェフリーはその時4回転を持ってなかったのに、彼に勝てるポテンシャルをもった他のスケーターに勝ったからね。
(そういった状況をどうお考えですか?エヴァン・ライサチェックがバンクーバー・オリンピックで優勝したこととか)
非常に単純だ。一定の点数システムを考えだしたからには、その点数を何で稼ぐかということは、重要な問題ではなくなるということだ。気に入らないのなら、例えば4回転には100万点の価値があるよな他のシステムを考え出せば良い。そうなれば、氷上で何をするかという問題は全く違ってくる。しかし、他にやり方はあるだろうか?例えば、今私のところには14歳のネイサン・チェンがいるが、アクセル以外の3回転だけでジュニアグランプリシリーズで2回優勝した。特に、2回の3Aと4回転を跳ぶ18歳の日本人の上を行ったのだ。ただ、私の教え子はほぼ全てのエレメンツでプラスをもらって、4回のジャンプをプログラムの最後に跳んでいるからだ。
私の考えでは、4回転ジャンプというのは、ケーキの上に乗ったさくらんぼのごとくスケーターに備わっているべきである。それがあるということは素晴らしい。さくらんぼが何個かあればもっといい。しかし、さくらんぼがなかったとしてもケーキはケーキのままだ。ただ、現在の男子シングルでは4回転1つというのは恥ずかしいと言わざるを得ない。プルシェンコはかつて4回転を4回、しかも複数の種類を跳んでいた。10年以上前には、4Tと4Sの他に練習では4Lzと4Loを試していたと確実に知っている。しかも時にはかなりうまく出来ていた。
プルシェンコとあたかも争っていたかのような他のスケーターにとっては、4回転は釣りに行くようなものだった。釣り竿を持って座って占うんだ。食いつくか食いつかないか?食いついたら、今度は釣り上げられるか釣り上げられないか?その時のプルシェンコにとっても、ルッツやループは同じような釣りみたいなもんだったろう。しかし4Tであれば、いわば昼でも夜でも好きなときに目をつぶってでも跳べただろう。まさにそのために、長きにわたって全く手が届かない存在だったのだ。今は違う。今は男子シングルは全く違う状況だ。プルシェンコ自身が、誰よりもよくそれを理解している。ソチで彼が何かを「捕まえる」ことができるか、もうそうでないかについて。私は議論したことはないが、彼が知っているということははっきりとわかっている。プルシェンコのようなスケーター、ライサチェックやミシェル・クワンといったスケーターには全てわかっている。
スタイルのアイコン
(女子のオリンピックについてはどう見ていますか?)
予想をするのは難しい。1位と2位以外は何が起こってもおかしくない。
(トップ2はキムユナと浅田真央ですか?)
(トップ2はキムユナと浅田真央ですか?)
ありうるね。
(浅田が慢性的にジャンプで回転不足になること、アクセルが両足着氷になることは不安になりませんか?)
(浅田が慢性的にジャンプで回転不足になること、アクセルが両足着氷になることは不安になりませんか?)
それを見たプロトコルを見せてください。
(ジャッジがリンクを違った角度で見ているとおっしゃりたいのですか?)
回転不足については実際はしごく単純なことだ。スケーターがつらいときにはジャンプが回転不足をしはじめる。単にジャッジはそれを時々「見つける」が、時にはそうではない。
(ISUがスケーターとしての浅田に関心を持っているので、明らかに彼女にある種の青信号を出しているということですか?)
(ISUがスケーターとしての浅田に関心を持っているので、明らかに彼女にある種の青信号を出しているということですか?)
そう言っているのはあなたがただ。ジャッジにとって、浅田が単に非常に大きなフィギュアスケートのアイコンであるということは否定しない。キムと違って真央はオリンピック後もどこへも行かず、どんな状態でも観客を掴む力がある。最終的に3Aも跳んでいる。しかしそれは、一方では女子シングルにとって特別なエレメントであると同時に、世界の全てのコーチに対する非難でもある。3Aがこれまで他の誰も跳んでいないのは異常だ。近いうちに状況は変わると思う。しかもおそらくそれはロシアで起こるだろう。強力な女子が今あまりに多く揃いすぎている。難易度という面で前に突き破ろうとする者もいるだろう。私自身も、そんなジャンプを本当にしたいと思う女の子を見つけたい。
(じゃあ、ロシアに戻ってきてくださいよ、何か障害でも?)
(じゃあ、ロシアに戻ってきてくださいよ、何か障害でも?)
もう遅い。快適さと良い気候に慣れすぎてしまった。
(終わり)
0 件のコメント:
コメントを投稿