引退を表明したセルゲイ・ヴォロノフは、自身の経歴についてのインタビューに答えていましたので、3回に分けて紹介します。最終回の今回は、引退と今後についてです。
セルゲイ・ヴォロノフ:いまのフィギュアスケートで、32歳まで滑りきれたのは幸せだった
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セルゲイ・ヴォロノフ:いまのフィギュアスケートで、32歳まで滑りきれたのは幸せだった
https://tass.ru/interviews/9457871
ヴェロニカ・ソヴェトワ / TASS / 2020/9/16
(続き)
(引退の決断は、明らかにテストスケートの前日にされたものではないでしょう。引退の決断に急き立てたのはパンデミックではないのでしょうか。)
このことについては率直に話せますし、振付師や親しい人たちは知っていることですが、はっきりとグランプリ大会があったなら、そこで滑っていたことでしょう。しかし、全世界の状況により一定の修正を加え、自分のためにはっきりと決断をしました。先に進むときが来たと。私が23-24歳だったなら、待っても良かったかもしれません。しかし、人生は競技だけでできているわけではなく、他にも面白いことはあり、それを試してみたいと思っています。
(それはどんな。)
オリジナルなものになるわけではありません。競技でこのような道のりを踏破し、重要な物事をたくさん吸収させてもらった素晴らしい教師や指導者がこれだけいたですから、その知識を伝えていかなければなりません。私には、それぞれ興味深いコーチたちがいました。ですから、私には、将来の世代に伝えるものがあります。
(つまり、やはりコーチですか。)
私から「ビジネスマン」や「官僚」といった答えをお求めですか?私は、自分に関心のあるものを出発点としています。私の功績については、皆さんご存知ですし、もしかすると誰かにとってはカギカッコ付きの功績かもしれませんが、いまはもう私は高等教育も受け、正式に働くことができます。ロシア国立体育・スポーツ・青年・観光大学の「コーチ・教師」専攻の卒業証書がありますから。
(引退したフィギュアスケーターとして、強化選手のテストスケートをどのような気持ちで観られていたのでしょうか。)
もう別な面から観ていました。フィギュアスケートのことはそこそこ知っている観客として観ていました。そして、将来仕事で役に立つ、自分にとって多くの興味深い点に気づきました。また、こんなに長い休止期間を経てからということもあり、まず精神的な観点からも興味深かったです。傍から見ると、誰がたくさん練習して、誰がそうではないのかがはっきりとわかりました。
(セルゲイ、家族についての質問をさせてください。こんなに長い間、フィギュアスケート選手の近くにいるといのは、どういう感じなのでしょうか。)
私の家族については常に秘密にしていました。言えるのは、近しい人たちは、上昇も、転倒も、心配してくれているということだけです。それが家族というものです。この意味で、私には付け加えることはありません。プライベートな空間ですから。
(キャリアの中でもっともつらかったことは。)
怪我したときよりひどいものはありません。多くのことには耐えられますし、裏切りさえ、どこか理由を見つけて理解することもできます。しかし怪我は、すぐにしてしまうのに、過ぎ去るのには時間がかかります。あっ!と思ったらもうおしまいです。その影響は長く続きます。私もその宿命は避けられませんでした。そして、回復がつらいのは、まさに氷上に戻るときです。
(最初の感覚は、恐怖ですか?)
また痛むのではないかという危惧です。できないのではないかと思うのです。痛くなったらどうしよう?どれだけ痛むことになるんだろう?と。
(キャリアの中で一番良かったことは。)
そういったことは、たくさんありました。覚えている中では、ジュニアグランプリでの最初のメダル、ジュニアワールド、ロシア選手権の金メダル、グランプリと欧州選手権での最初のメダルです。まだ若いうちにメダルを獲るのと、成熟してから獲るのでは、まったく違います。
(この信じられないほどの人気と、その人気の裏側を併せ持った、今日のフィギュアスケートはお好きですか?)
すべてのものにプラスもマイナスもあります。しかし、フィギュアスケートは、こういった人気を得る価値が絶対にあります。最も面白い競技ですから。フィギュアスケートのヒーローたちが、このレベルまで人気を高めてくれました。
(あなたもそういったヒーローになったのでは。)
あなたはそうおっしゃってくれますが、私は自分をその中には入れていません。これ以上ないくらい成功しているヒーローたちがいます。キャリアが長い者もいれば、短くとも輝く者もいます。それぞれにそれぞれの道があるのです。
(フィギュアスケートを辞めた日のことを覚えていますか?)
はい。オフアイスの練習に行く必要もなく、毎日絶対やらなければならないことをする必要もない、という意識がやってきています。世界は私を中心に回っているわけではなく、太陽も、私が辞めようが辞めまいが、いずれにせよ昇るのです。すべてが遅かれ早かれ終わるもので、新たにすべきことのための時がやってきたということです。
(コーチとしては今のところ自由航行中ですか?)
いまのところはそうです。
(いまの言い方をすれば、「提案に対してオープンです」と。)
そうとも言えますね。
(終わり)
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