セルゲイ・ヴォロノフのロングインタ、第4回です。世界選手権2019について語っています。
4/19発売 KISS & CRY 氷上の美しき勇者たち 世界選手権2019 総力特集号~Road to GOLD!!! (表紙・巻頭特集/羽生結弦選手)
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「自分のためというよりも、デニス・テンの記憶のために滑っている」セルゲイ・ヴォロノフ、ロングインタビュー
アナスタシヤ・パニナ / 2019/4/3 / Match TV
4/19発売 KISS & CRY 氷上の美しき勇者たち 世界選手権2019 総力特集号~Road to GOLD!!! (表紙・巻頭特集/羽生結弦選手)
(続き)
(インタビューの準備にあたり、あなたが出場した大会のプロトコルを2007-2008年までさかのぼってみました。その頃は、ジュベール、ランビエール、高橋といった伝説のフィギュアスケーターが滑っていました。プロトコルにはGOE+3はほとんどなく、また9点を超えるコンポーネンツもほとんどありませんでした。今や、世界のトップ3やユーロのトップ3は、少なくとも最大限に近い評価をただ受けています。今日のスケーターは実際にそれだけより良い滑りをしているのか、それともジャッジが自分を抑制するのを止めたのでしょうか。)
私にとってはその質問に答えるのは難しいことです。というのも、現役の選手にとってはジャッジ制度について話すのはあまり倫理的に良くはありません。ただ抽象的に話してみます。
そういった輝ける星たちが素晴らしかったというのは事実です。しかし、現在は評価の段階が増えました。以前は+3が天井でしたが、現在は中央の点数です。これが正しいかどうか。もしかするとそうかもしれません。男子は4回転の数が増えています。進歩はその場に留まっていません。ネイサンのような素晴らしいスケーターも現れました。彼は本当にみんなと違っています。普通でない、極めて才能ある男子です。
このことが何につながっていくのでしょうか?チェンのような男子がたくさんいるとは思いません。チェン、羽生結弦、宇野昌磨といった、他にいない選手はいますが、その数は片手の指で数えられるでしょう。なぜ彼らの評価がそんなに高いのかはまったく理解できることです。
彼のジャンプがあまり良くなかったとしても、他の選手よりもちょっと良い評価を受けるでしょう。苦しんで着氷したジャンプでさえも、その苦しみに対してプラスの評価となります。そう呼びたいのなら、天才性に対する修正と呼んでもよいでしょう。これは正当化されることでしょうか。尋常でないスケーターでもミスをすることはあります。つまり、彼らがクリーンにすべるときは、それぞれがその評価に値するということです。
ISUに愚かな人たちがいるとは思いません。傍から判断するのは、いつだって簡単なことです。彼らは議論を通じて決定を下して、フィギュアスケートの利益となるような道を探そうとしているのです。
誰だって、大統領や科学者でさえ、間違いはあるものです。誤ちを認めるには、いくらか時間が必要です。評価グレードの拡大の結果が進化と出るか退化と出るかは、少し後になってからわかるでしょう。ISUはおそらく、選手を最も駆り立てるものは何かということに基づいて、私たちのスポーツの発展をめざしているのです。
(世界選手権では誰が一番印象に残りましたか?)
最も強力なのは、言うまでもなく、ネイサン・チェンと羽生結弦です。フリーでは金メダルを2つあげたいです。羽生はオリンピックでもこんなふうには滑っていませんでした。「そう、自分はミスをしたけれど、自分の場所を守るために戦う」という、自分とコミュニティ全体に対する挑戦状をもっているような、明確な滑りでした。彼が滑っているときは鳥肌が立ちました。
同じようにクールだったのがネイサンです。彼は羽生の演技の一部を見て、リンクからぬいぐるみが取り除かれるまで待っていました。これが彼を荒れ狂わせたことでしょう。本物の男としてリンクに入り、それに値する演技を見せました。
ネイサンはとても慎み深い青年ですが、演技の後にこうやって見せる完璧な権利をもっていました(セルゲイは人差し指を上に上げる)。自分がナンバーワンだと。見せかけではなく、本当にその価値があったことでしょう。どれだけ軽やかに、技術的に、正確にすべてをやりきったことか。
彼のコーチのことも忘れてはいけません。ラファエル・ウラジーミロヴィチ(アルチュニアン)のところにこんな、すべてに完璧に勝てる教え子が出てきたことを嬉しく思います。
(優勝について、アルチュニアンはネイサンよりも喜んでいるように見えました。)
かつてラファエル・ウラジーミロヴィチがロシアで指導をしていたころ、彼は強い圧力を受けていました。進む方向を与えてもらえなかったのです。今は多くのことが変わり、よりオープンで民主的になりました。しかし、いずれにせよ仕事の条件はアメリカのほうがおそらく合っているのでしょう。
彼も、自分が素晴らしいコーチであることを証明したのです。
(あなたも彼の指導の下、長年練習していましたね。彼の指導はどんなふうだったと覚えていますか?)
それはとても単純で、一言で言えます。狂信的でした。違ったやり方は必要なく、また興味もありません。練習について行って刺激がなくなるまで練習を好きでいるか、あるいは何か別なものを探すか、いずれかの必要があります。
(続く)
(続く)
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