2011年世界選手権銅メダリストのアルトゥル・ガチンスキーが、最近のコロナ隔離状況やコーチの仕事について、「クレイジー三姉妹」、ザギトワ、トゥクタムィシェワ等について語っているインタビューがSport den za dnemに掲載されていましたので、前後編で紹介します。前編は、コロナによる隔離状況、コーチ業と教え子たちの現状、今シーズンの印象についてです。
※追記
「老婆」については、リーザ自身が自分のことをこう言っているのを受けての発言だと思われます。
ガチンスキー:こんな構成だったら男でも自慢できる
(前)コロナの状況、コーチ業、ネイサンと結弦 ← この記事
(後)「クレイジー三姉妹」、4A、リーザとサモドゥロワ
(いまはコーチをされており、グループを率いていらっしゃいますね。選手と連絡を取り合ったり、会話をしたりしていますか?不安になったら落ち着かせなければならないでしょうか。)
(順番に行きましょう。グランプリファイナルでのネイサン・チェンの335.30点はいかがですか?)
(続く)
※追記
「老婆」については、リーザ自身が自分のことをこう言っているのを受けての発言だと思われます。
ガチンスキー:こんな構成だったら男でも自慢できる
(前)コロナの状況、コーチ業、ネイサンと結弦 ← この記事
(後)「クレイジー三姉妹」、4A、リーザとサモドゥロワ
「こんな構成だったら男でも自慢できる!」アルトゥル・ガチンスキー、コーチの仕事、トシコ、ザギトワ、「老婆」トゥクタムィシェワ、そしてシーズン総括を語る
アレクサンドル・マカロフ / Sport den za dnem / 2020/4/17
(あなたはモスクワ生まれですし、タチヤナ・アナトリエヴナ・タラソワへの移籍後しばらくの間はモスクワに住まれていましたね。しかし、過半の時間をペテルブルクで、アレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンの下で過ごしていて、今もここで働いています。どちらの街が「故郷]だと思っていますか?)
サンクトペテルブルクです。故郷の街となりました。どれだけここに住んで、ここで過ごしたのでしょう。セストロレツクの海岸沿いを散歩するのが好きです。
(隔離状況が解除されたらまずそこに行きますか?)
いえ、まずは仕事です。もう恋しく思っていますから。
(3月初めのリーザ・トゥクタムィシェワのショーの際、「ユビレイヌィ」リンクでお母様とご一緒のところを見かけました。お母様はこの状況をどう思対処されていますか?)
いまはオリギノで一緒にいます。家のことをやっていますね。棚を片付けたり、物置小屋を片付けたり。仕事があるために取り組めなかったことをしています。区切られている場所なので、人はあまり多くいません。
(お母様については、フィギュアスケート選手の衣装を作っていることはみんなが知っています。いまも続けていらっしゃいますか?)
いえ、法を遵守する市民の皆さんと同様、仕事せずに家にいます。
(アトリエ以外では非現実的でしょうか。)
現実的かもしれませんが、母は劇場向けの衣装も作っていたのですが、今は劇場も閉鎖されていますし、フィギュアスケート選手も、同じ隔離状況にあります。クライアントがいないのです。いまは衣装を作るどころではなく、他のことを考えるときでしょう。
(今や、毎朝がコロナウイルスの統計を見ることから始まります。サンクトペテルブルクでは、機能のうちに新たに424件のCOVID-19感染が見つかり、新記録となりました。街にはもはや1500人の感染者がいます。どうしてこうなってしまったのでしょうか?自己隔離を遵守しない人のせいでしょうか。)
自己隔離がなされていても、いずれにせよお店に行ったり、なにか仕事があったりします。しかも、このウイルスの危険性について、実際にすべてがわかっているわけではありません。どのように拡散し、どのように効力を発し、身体の機関に影響を及ぼすのか…。残念がら、いずれにせよ患者は増えるでしょう。
(いまはコーチをされており、グループを率いていらっしゃいますね。選手と連絡を取り合ったり、会話をしたりしていますか?不安になったら落ち着かせなければならないでしょうか。)
選手を落ち着かせることが必要にはなっていません。毎朝同じように始まります。朝食、それからオンライン・トレーニングです。子どもたちはみな、いまある条件の中でそれをしています。身体のコンディションを維持する必要があります。日中、選手たちはオンライントレーニングでコレオの授業も受けています。見えるのは脚だけです。コレオ担当が動きのコンビネーションを見せて、選手たちが繰り返します。夕方には他のコレオ担当と体操をするのですが、選手たちはストレッチ
と筋トレをします。
(あなたのグループの各選手のことについて教えて下さい。ソーニャ・モロスから始めましょう。)
ソーニャはいま、エカテリンブルクのおばあさんとお父さんのところにいます。直接電話することは有りませんが、メッセージをやり取りしています。彼女は、基礎トレーニングやランニングと行った課された課題を進めています。映像と写真の報告が贈られてきます。各選手に日記があり、選手たちはしたことすべてをそこに書き込みます。4月1日頃からそういったやり方です。
(エヴァ・コブザリはいかがですか?)
エヴォチカ(コブザリ)はプリオゼルスクでお母さんとお父さんと一緒にいます。郊外の一軒家なので、外に出る機会もあります。基礎トレーニングやジャンプをしています。しかし、そこでは事実上インターネットがないので、直接連絡することができません。連絡ができるはちょっとしたことだけです。とはいえ、選手が良心をもってすべてをこなしていることに期待します。そして、単に選手が日記を書くだけでなく、自分が選手に遅れないようにしないと(笑)。選手たちを信じていますし、信頼しています。とはいえ、男の子たちは…。
(セミョン・ソロヴィヨフとニコライ・ロギノフですね。)
はい。彼らとは毎日連絡をとり、オンライン・トレーニングをしています。セミョンはペテルブルクでお母さんと一緒にいます。コーリャ(ロギノフ)は、お母さんが故郷のウラジーミル市に連れていきました。彼らとはビデオ通話ができるのでちょっと楽です。
(では、ちょっと前の、練習と大会ができていた頃の話に戻りましょう。2012年の欧州選手権で銀メダルを獲った後、「いい気になってしまった」とご自身で認められていましたね。その個人的経験はどのように役立っているのでしょうか。そういったことのないように、教え子たちにはどう話していますか?)
高慢にならないように負荷を増やしています(笑)。どこかで良い演技をしたことがある、というのを忘れるように。表彰台に上ったとしても、そこで止まってはいけないと常に話しています。大会と大会の間で新しいことを覚える必要があります。良い大会が一つあったら、さらに5つあるようにしなければなりません(笑)。すべてはまだ先にあるのです。
(あなたはまだお若いコーチです。特にアレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンと比べると。教え子側からの態度に違いを感じていらっしゃいますか?どこか態度が大きかったり、反論したりとか。)
いえ、正直に言ってそんな問題があるとは思っていません。その面ではとくに問題ないです。
(コーチという新たな役割をどのように感じていますか?すでに最終的に慣れて再構築できましたか?それとも、以前のように、言葉で説明するのではなくリンクで自分ですべて見せる方に惹かれていますか?)
もちろん、言葉で簡単に説明できることもあります。しかし、子どもたちが最後まで理解できないこともときどきあります。それは3回転ジャンプとかアクセルその他のことではありません。もちろん私はまだ跳べますが、いきなり跳んだら骨がどこかに飛んでいってしまいますからね(笑)。しかし、ステップシークエンスやスケーティング、その他の細かい点については、どのように見えるのかを子どもたちに理解してもらえるよう、自分で全部やってみせます。ロッカー、カウンター、難しいターン、すべてやって見せています。選手たちが、自分でやっているものよりももっと多くのことができると理解してもらえるように。しかも、スケーティングには改善の限界はありませんから。
(しかも今は、ウルトラCのエレメンツがなくとも、コンポーネンツの得点で達成できる面もあります。)
そのとおりです。ルールに合わせて調整する必要があります。ジャンプへの難しい入りと出もありますし、スケーティングも、速度を失うことなく、トウも引っ掛けることなく、正しく行わなければなりません。
(木曜に、世界選手権の正式な中止が発表され、シーズンが終わりました。あなたにとって2019/20シーズンの主な出来事はなんでしょうか。)
おそらく、一番凄かったのは、グランプリファイナルでのネイサン・チェンのフリーの演技でしょう。「ロケットマン」ですべてを完璧に、さらにクリーンに演じたものです。ただただ驚くばかりでした。それから、あらゆる人を魅了したロシア女子も指摘したいです。もちろん、「老婆」でも4回転や3Aが跳べると証明したリーザ・トゥクタムィシェワも。
(順番に行きましょう。グランプリファイナルでのネイサン・チェンの335.30点はいかがですか?)
ぞっとしますね(笑)。しかもあんな大会でその点数を取るなんて。
(チェンか、それともやはり羽生結弦か、どちらの方がお好きですか?)
誰かを選んだら、山のような非難が飛んできそうです。人は、自分の意見を言う人を非難するのが好きですから。とはいえ、ネイサンの方が好きです。
(なぜでしょうか。)
スケーティングのスタイルや、プログラムの見せ方が好きです。見ていてよりの楽しいです。いや、たぶんこれは違いますね…。単純に心を掴まれるのです。結弦の方がより結果について考えていて、すべてをやりきることにより集中しています。それが悪いと言っているのではありません。良いことです。しかし、ネイサンの方が、より解放されているように見えます。それが好きなのです。
(続く)
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