2011年世界選手権銅メダリストのアルトゥル・ガチンスキーが、最近のコロナ隔離状況やコーチの仕事について、「クレイジー三姉妹」、ザギトワ、トゥクタムィシェワ等について語っているインタビューがSport den za dnemに掲載されていましたので、前後編で紹介します。後編は、コストルナヤ・トルソワ・シチェルバコワ、ザギトワ、リーザ、サモドゥロワのことなどについてです。
※注
「老婆」については、リーザ自身が自分のことをこう言っているのを受けての発言だと思われます。
ガチンスキー:こんな構成だったら男でも自慢できる
(前)コロナの状況、コーチ業、ネイサンと結弦
(後)「クレイジー三姉妹」、4A、リーザとサモドゥロワ ← この記事
アレクサンドル・マカロフ / Sport den za dnem / 2020/4/17
(続き)
(次に参りましょう。トゥトベリゼの教え子たちが負けたのは1大会もありませんでした。)
信じられないようなことでした。
(こちらでも、アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シチェルバコワ、アレクサンドラの中でどなたが良いですか?)
彼女たちはあまりにも違っているので、それぞれに何か好きなところを見つけられます。
(各選手のどこが良いでしょうか?)
サーシャ・トルソワは競技の構成が良いです。彼女のプログラムはいつも技術面で最大限に詰め込んでいます。4回転ジャンプを4回とは凄い!こんな構成なら男でも自慢できます(笑)。アリョーナはなにかカリスマがあります。それをどう説明していいかわかりません。リンクに美しい、可愛らしい女子が入ってきて、美しく滑り、感情を表現し、3Aを2回跳ぶのです。つねに微笑んでいてポジティブで、すべてを軽々とこなします。見ているのが気持ち良いです。アーニャ・シチェルバコワについて言えば、アリョーナとサーシャの共存です。アーニャも微笑んでいて可愛らしく、軽やかで、しかも4Lzを跳ぶのです。私にとっては、4Lzを跳ぶような女子なんて言うのは普通じゃありません。笑えるくらいです(笑)。
(近く4Aも期待できますか?)
女子についてはわかりませんが、男子はその頂点を征服しようとすることでしょう。私が現役だった頃、若い頃は、必要だったのは4Tが2回と3Aが2回で、それで凄かったのです。私たちはその頂点を目指していました。いまの男子は4回転を全種類跳んでいて、それはもう、ああ、言葉もありません!こんなことは、ただ夢を見るばかりだったのです。いまやみんながこうであり、これを目指しています。つまり、この先4Aで驚かざるを得なくなることでしょう。
(リーザ・トゥクタムィシェワのクワドについては。)
リーザは、失敗はしましたが、ロシア選手権で4Tを跳ぼうとしました。さらに3Aがあります。ですので、来シーズンで4Tを待ちたいと思います。
(リーザはまだ23歳ですが、「老婆」と呼ばれましたね。)
「まだ」とおっしゃいますが、一番年上ですよ(笑)。
(15-16歳と比べたらもちろんそうですが、彼女はまだ23歳というラインの固執を続けたいと思います。)
まだ、とはいえ、フィギュアスケートはあまりに若年化してしまっていて、私がショーに出るときは、たぶんもう杖をもらわないといけませんね(笑)。
(このシーズンの出来事で言えば、もちろんアリーナ・ザギトワのキャリア中断について話すべきでしょう。このような事態に対し構えはできていましたか?)
ええ、まったく。
(彼女がすべてのタイトルを獲ってほかに刺激がないからでしょうか。)
いえ。若い世代が出てきたと言う理由です。「お山の大将」という遊びを覚えていますか?山の上から人を蹴落としてその場に立たなければならないという。ちょうどいま、女子選手の中でこのような闘いが行われているのです。このシーズン、「クレイジー3姉妹」(注:コストルナヤ、シチェルバコワ、トルソワ)の争いが見られていました。素晴らしいことです。そして、アリーナ・ザギトワのキャリア中断はこれに関連しています。シーズンを通じ、彼女の演技は以前のように安定しておらず、浮き沈みがありました。もしかすると、彼女はちょっと休みたくて中断を決めたのかもしれません。彼女はもう大人になりましたから、もし体重の問題があったとしたら、それの対処にも慣れなければなりませんし。
(それでは、さまざまなショーの枠内でフィギュアスケート界に残ることが可能であるなら、復帰する意味はあるのでしょうか。)
彼女が引退すべきだとか、逆に最後まで滑り切るべきだとかは言いたくありません。決めなければならないのは、アリーナ自身です。彼女がしたいことをすべきです。彼女が闘う用意ができて、良い成績を見せる準備ができたら、どうぞ、ということです。私たちが彼女に指示するものではありません。
(もちろんです。とはいえ、あなたも引退した後で復帰しました。ですので、ある程度アリーナのことが理解できるのでは。)
ええ、そういったことはありました。止まっていても、いずれにせよアドレナリンが欲しくなるのです。しかし、ある程度時間がすぎると、達成したい新たな目標が出てきます。しかも、選手を指導するのは、自分で演技をしていたときよりも神経を使いますので。
(欧州選手権で、ヴィクトリヤ・シニツィナとニキータ・カツァラポフがガブリエラ・パパダキスとギョーム・シゼロンに買ったことは大きなセンセーションです。フランスのカップルは5年連続で誰にも負けていませんでした。彼らの勝利にジャッジが飽きたのでしょうか?)
ニキータとヴィカのことに喜ぶしかできません。これに向けて長い道のりを歩いてきたからです。しかも、無条件の優勝候補を上回ったのですから。ヴィカとニキータは素晴らしい。これ以上アイスダンスについては何も言いません(笑)。
(特に深く理解しているわけではないと。)
そのとおりです(笑)。わかることがあれば、もちろんコメントしますが…。
(次のテーマです。このシーズンはいろいろありましたが、エヴゲニヤ・メドヴェデワの靴の経緯が思い出されます。靴の片方が壊れてしまったためにロシア選手権のフリーを棄権していまいました。ここで、およそ10年前に話を映します。モスクワでの世界選手権であなたがフリーを滑りきった後、リンクには日本の高橋大輔が入りましたが、そこで…。)
私は彼の演技は見ていませんでした。更衣室で、自分の演技がクリーンだったことを喜んでいたからです。もちろん、彼の靴のブレードからビスが飛んでしまったことは知っています。あの日、幸運の地図は彼の手の中には落ちたくなかったようです。こういったことからは誰も守られていません。ジェーニャ・メドヴェデワが言っていたことが正しく、フィギュアスケート選手は大会へは靴を2足持ってきません。1シーズンに1足です。靴が壊れたときは、新しい靴を買うかもらうかします。靴の慣らしはとても難しいです。血豆ができたり、骨があたって血が出たりします。ブレードが壊れたり、靴が引き裂けたりすることは自分にも何度かありました。どうすればよいでしょうか?足が悪いか、靴が不運かのいずれかです(笑)。
(ソーニャ・サモドゥロワにはもっと期待していました。それでも彼女は欧州女王でしたから。しかし、このシーズンは、彼女の「経歴」から削除してもよいでしょう。来シーズンは彼女に何を期待しますか?同じリンクで練習していますよね。)
彼女の失敗や体重の問題すべてが、過去のものとなることを期待しています。成長期は誰にもでも訪れます。このシーズンはうまくいきませんでしたが、それを削除して、うまく行かなかった大会を忘れてほしいです。いま、シニアのグループはオンライントレーニングと基礎トレーニング、コレオに取り組んでいます。アイスリンクだけがありません。練習を続けて、自身をもっと見せる必要があります。
(2021年の世界選手権はどうあるべきでしょうか。出場権は、通常通りロシア選手権と欧州選手権の結果によるものとすべきか、それとも中止となった世界選手権2020の代表とすべきでしょうか。)
次のロシア選手権での選抜にするのが公平です。過去の何を思い出すべきだというのでしょうか、もう過ぎ去ったことなのに。今後、驚くほどに長いシーズン間のオフが終われば、新しいものを見せたり、新しいものを習得したりできます。女子も男子もどう変わっていくのか、成長するのかそうでないのか、見守りましょう。
(中止となった世界選手権に選ばれていた選手が、2021年3月の世界選手権に選ばれなかったら悔しいことになりますね。)
その論点は理解します。しかし、新しく選抜をするのが公平です。
(まさにそのときにより強い者が行けるということですね。)
そうです、競技の原則(順位通り)に賛成です。
(最初は、4月30日に選手にはリンクに戻ることが許可されるかもしれないと言われていました。いまの状況はいかがですか?アレクセイ・ニコラエヴィチ(ミーシン)かタチヤナ・ニコラエヴナ(タラソワ)とはこの件について何か話していましたか?)
いえ、新しい情報はまったくありません。自己隔離が始まったばかりの頃は、「ユビレイヌィ」リンクで練習を行っていました。確か、3月27日に仕事に来て、2時間経ったところで全部閉鎖になりました。28日には、家にいるよう宣言がありましいた。それ以来具体的な情報はまったくありません。
(終わり)
※注
「老婆」については、リーザ自身が自分のことをこう言っているのを受けての発言だと思われます。
ガチンスキー:こんな構成だったら男でも自慢できる
(前)コロナの状況、コーチ業、ネイサンと結弦
(後)「クレイジー三姉妹」、4A、リーザとサモドゥロワ ← この記事
「こんな構成だったら男でも自慢できる!」アルトゥル・ガチンスキー、コーチの仕事、トシコ、ザギトワ、「老婆」トゥクタムィシェワ、そしてシーズン総括を語る
https://www.sportsdaily.ru/articles/dazhe-muzhiki-takim-naborom-ne-poxvastayutsya-artur-gachinskij-o-rabote-trenerom-tshhk-zagitovoj-starushke-tuktamyshevoj-i-itogax-sezonaアレクサンドル・マカロフ / Sport den za dnem / 2020/4/17
(続き)
(次に参りましょう。トゥトベリゼの教え子たちが負けたのは1大会もありませんでした。)
信じられないようなことでした。
(こちらでも、アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シチェルバコワ、アレクサンドラの中でどなたが良いですか?)
彼女たちはあまりにも違っているので、それぞれに何か好きなところを見つけられます。
(各選手のどこが良いでしょうか?)
サーシャ・トルソワは競技の構成が良いです。彼女のプログラムはいつも技術面で最大限に詰め込んでいます。4回転ジャンプを4回とは凄い!こんな構成なら男でも自慢できます(笑)。アリョーナはなにかカリスマがあります。それをどう説明していいかわかりません。リンクに美しい、可愛らしい女子が入ってきて、美しく滑り、感情を表現し、3Aを2回跳ぶのです。つねに微笑んでいてポジティブで、すべてを軽々とこなします。見ているのが気持ち良いです。アーニャ・シチェルバコワについて言えば、アリョーナとサーシャの共存です。アーニャも微笑んでいて可愛らしく、軽やかで、しかも4Lzを跳ぶのです。私にとっては、4Lzを跳ぶような女子なんて言うのは普通じゃありません。笑えるくらいです(笑)。
(近く4Aも期待できますか?)
女子についてはわかりませんが、男子はその頂点を征服しようとすることでしょう。私が現役だった頃、若い頃は、必要だったのは4Tが2回と3Aが2回で、それで凄かったのです。私たちはその頂点を目指していました。いまの男子は4回転を全種類跳んでいて、それはもう、ああ、言葉もありません!こんなことは、ただ夢を見るばかりだったのです。いまやみんながこうであり、これを目指しています。つまり、この先4Aで驚かざるを得なくなることでしょう。
(リーザ・トゥクタムィシェワのクワドについては。)
リーザは、失敗はしましたが、ロシア選手権で4Tを跳ぼうとしました。さらに3Aがあります。ですので、来シーズンで4Tを待ちたいと思います。
(リーザはまだ23歳ですが、「老婆」と呼ばれましたね。)
「まだ」とおっしゃいますが、一番年上ですよ(笑)。
(15-16歳と比べたらもちろんそうですが、彼女はまだ23歳というラインの固執を続けたいと思います。)
まだ、とはいえ、フィギュアスケートはあまりに若年化してしまっていて、私がショーに出るときは、たぶんもう杖をもらわないといけませんね(笑)。
(このシーズンの出来事で言えば、もちろんアリーナ・ザギトワのキャリア中断について話すべきでしょう。このような事態に対し構えはできていましたか?)
ええ、まったく。
(彼女がすべてのタイトルを獲ってほかに刺激がないからでしょうか。)
いえ。若い世代が出てきたと言う理由です。「お山の大将」という遊びを覚えていますか?山の上から人を蹴落としてその場に立たなければならないという。ちょうどいま、女子選手の中でこのような闘いが行われているのです。このシーズン、「クレイジー3姉妹」(注:コストルナヤ、シチェルバコワ、トルソワ)の争いが見られていました。素晴らしいことです。そして、アリーナ・ザギトワのキャリア中断はこれに関連しています。シーズンを通じ、彼女の演技は以前のように安定しておらず、浮き沈みがありました。もしかすると、彼女はちょっと休みたくて中断を決めたのかもしれません。彼女はもう大人になりましたから、もし体重の問題があったとしたら、それの対処にも慣れなければなりませんし。
(それでは、さまざまなショーの枠内でフィギュアスケート界に残ることが可能であるなら、復帰する意味はあるのでしょうか。)
彼女が引退すべきだとか、逆に最後まで滑り切るべきだとかは言いたくありません。決めなければならないのは、アリーナ自身です。彼女がしたいことをすべきです。彼女が闘う用意ができて、良い成績を見せる準備ができたら、どうぞ、ということです。私たちが彼女に指示するものではありません。
(もちろんです。とはいえ、あなたも引退した後で復帰しました。ですので、ある程度アリーナのことが理解できるのでは。)
ええ、そういったことはありました。止まっていても、いずれにせよアドレナリンが欲しくなるのです。しかし、ある程度時間がすぎると、達成したい新たな目標が出てきます。しかも、選手を指導するのは、自分で演技をしていたときよりも神経を使いますので。
(欧州選手権で、ヴィクトリヤ・シニツィナとニキータ・カツァラポフがガブリエラ・パパダキスとギョーム・シゼロンに買ったことは大きなセンセーションです。フランスのカップルは5年連続で誰にも負けていませんでした。彼らの勝利にジャッジが飽きたのでしょうか?)
ニキータとヴィカのことに喜ぶしかできません。これに向けて長い道のりを歩いてきたからです。しかも、無条件の優勝候補を上回ったのですから。ヴィカとニキータは素晴らしい。これ以上アイスダンスについては何も言いません(笑)。
(特に深く理解しているわけではないと。)
そのとおりです(笑)。わかることがあれば、もちろんコメントしますが…。
(次のテーマです。このシーズンはいろいろありましたが、エヴゲニヤ・メドヴェデワの靴の経緯が思い出されます。靴の片方が壊れてしまったためにロシア選手権のフリーを棄権していまいました。ここで、およそ10年前に話を映します。モスクワでの世界選手権であなたがフリーを滑りきった後、リンクには日本の高橋大輔が入りましたが、そこで…。)
私は彼の演技は見ていませんでした。更衣室で、自分の演技がクリーンだったことを喜んでいたからです。もちろん、彼の靴のブレードからビスが飛んでしまったことは知っています。あの日、幸運の地図は彼の手の中には落ちたくなかったようです。こういったことからは誰も守られていません。ジェーニャ・メドヴェデワが言っていたことが正しく、フィギュアスケート選手は大会へは靴を2足持ってきません。1シーズンに1足です。靴が壊れたときは、新しい靴を買うかもらうかします。靴の慣らしはとても難しいです。血豆ができたり、骨があたって血が出たりします。ブレードが壊れたり、靴が引き裂けたりすることは自分にも何度かありました。どうすればよいでしょうか?足が悪いか、靴が不運かのいずれかです(笑)。
(ソーニャ・サモドゥロワにはもっと期待していました。それでも彼女は欧州女王でしたから。しかし、このシーズンは、彼女の「経歴」から削除してもよいでしょう。来シーズンは彼女に何を期待しますか?同じリンクで練習していますよね。)
彼女の失敗や体重の問題すべてが、過去のものとなることを期待しています。成長期は誰にもでも訪れます。このシーズンはうまくいきませんでしたが、それを削除して、うまく行かなかった大会を忘れてほしいです。いま、シニアのグループはオンライントレーニングと基礎トレーニング、コレオに取り組んでいます。アイスリンクだけがありません。練習を続けて、自身をもっと見せる必要があります。
(2021年の世界選手権はどうあるべきでしょうか。出場権は、通常通りロシア選手権と欧州選手権の結果によるものとすべきか、それとも中止となった世界選手権2020の代表とすべきでしょうか。)
次のロシア選手権での選抜にするのが公平です。過去の何を思い出すべきだというのでしょうか、もう過ぎ去ったことなのに。今後、驚くほどに長いシーズン間のオフが終われば、新しいものを見せたり、新しいものを習得したりできます。女子も男子もどう変わっていくのか、成長するのかそうでないのか、見守りましょう。
(中止となった世界選手権に選ばれていた選手が、2021年3月の世界選手権に選ばれなかったら悔しいことになりますね。)
その論点は理解します。しかし、新しく選抜をするのが公平です。
(まさにそのときにより強い者が行けるということですね。)
そうです、競技の原則(順位通り)に賛成です。
(最初は、4月30日に選手にはリンクに戻ることが許可されるかもしれないと言われていました。いまの状況はいかがですか?アレクセイ・ニコラエヴィチ(ミーシン)かタチヤナ・ニコラエヴナ(タラソワ)とはこの件について何か話していましたか?)
いえ、新しい情報はまったくありません。自己隔離が始まったばかりの頃は、「ユビレイヌィ」リンクで練習を行っていました。確か、3月27日に仕事に来て、2時間経ったところで全部閉鎖になりました。28日には、家にいるよう宣言がありましいた。それ以来具体的な情報はまったくありません。
(終わり)
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